2017 Fiscal Year Research-status Report
Role of embryonic muscle as hematopoietic niche
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17K19530
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉山 大介 九州大学, 医学研究院, 教授 (00426652)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / 胎生期造血細胞 / ニッチ / 筋肉 |
Outline of Annual Research Achievements |
造血幹・前駆細胞は、その周囲を取り囲む「ニッチ」により外的制御を受けている。これまで造血幹・前駆細胞は、胎仔肝臓・脾臓で増殖した後、出生前の胎齢19.5日目より骨髄へ移動・定着し、成体の骨髄造血を開始すると考えられてきたが、申請者らは免疫組織学的観察により、胎仔において骨髄造血開始前に造血幹・前駆細胞が筋組織に集積することを発見し、報告した(Tanaka, Sugiyama et al., PLoS One 2015)。さらに、筋組織造血幹・前駆細胞はコロニー形成能および骨髄再構築能を有するのみならず、ある特定の細胞の性質を示す結果を得ている(未発表データ)。申請者が知りうる限りこの様な報告は無く、胎生期筋組織はこの細胞の新しいニッチと考えられる。 平成29年度は筋組織造血細胞における本細胞・前駆細胞制御因子の探索を実施した。既に胎仔筋組織造血細胞を用いて網羅的な遺伝子発現解析を行っており、そのデータのin silico解析により、胎仔筋組織造血細胞で高発現する細胞表面受容体を上位10種類選出した。さらにWeb上で利用可能なデータベース(GeneMANIA, http://www.genemania.org、STRING, http://www.string-db.org )を利用して、選出した候補受容体と相互作用する因子(リガンド)を検索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
候補受容体・リガンドのin vitro機能解析において、Flow cytometry法により胎齢16.5日目のマウス胎仔筋組織造血細胞を回収し、siRNA導入により候補受容体の遺伝子発現を抑制しようとしたが、試料となるマウス胎仔組織の回収に予定より時間がかかり、導入に至らなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
Flow cytometry法により胎齢16.5日目のマウス胎仔筋組織造血細胞を回収し、siRNA導入により候補受容体の遺伝子発現を抑制する。siRNA導入後12~48時間後に細胞を回収し、Real-time PCR法により抑制効率を算出する。発現阻害後、細胞数・生細胞率を求め、造血分化状態を評価する。候補受容体の発現抑制により各評価項目に変化を認めた場合には、同様に調整した細胞を用いてコロニー形成試験を実施し、造血前駆細胞の数と分化能を評価する。 同様にマウス胎仔筋組織造血細胞を回収し、候補受容体に対するリガンドの添加培養を行う。コントロールにはリガンドを溶解させた溶媒を用い、リガンドの添加濃度は文献等を参考に低・中・高の3点設定する。培養後の細胞を回収し、細胞数・生細胞率を求め、造血の分化状態を評価する。 胎仔大腿組織の凍結切片を用いて同定した候補受容体・リガンドの免疫組織染色を行い、局在を解析する。申請者が知りうる限り過去に筋組織ニッチ細胞に関する報告はないため、Flow cytometry法により筋組織構成細胞の表面マーカーを解析し、造血細胞、筋細胞、血管内皮細胞、間葉系細胞、それらに分類されない細胞に分画する。分画した細胞からRNA及びタンパク質を抽出し、同定された候補リガンドの遺伝子・タンパク質発現を解析し、候補リガンドを発現する細胞集団を同定する。
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Causes of Carryover |
siRNA導入による候補受容体の遺伝子発現抑制実験のために計上していた経費を使用していないため。
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Research Products
(1 results)