2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K19553
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
廣田 圭司 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 准教授 (90631250)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | Th17 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗原特異的なT細胞の記憶獲得・維持が、感染症に対する長期的なワクチン効果に重要である。一方、自己抗原に特異的な自己免疫性T細胞の記憶獲得・維持機構が、自己免疫疾患の増悪、再発因子であるかどうか明らかでない。加えて、生体内で同定が困難である自己抗原特異的なメモリーT細胞に関しては研究が進んでおらず、基礎的な分子基盤および自己免疫惹起能に関しても詳しく分かっていない。本年度、生体内で分化したエフェクターTh17細胞、メモリーTh17細胞の同定手法の開発および細胞表現型の解析を進めた。これまでサイトカイン産生細胞は、生体から分離したTh細胞を試験管内で再刺激、固定、染色することで検出しており、生体内のエフェクターTh17細胞とメモリーTh17細胞を同一個体内で分離・同定するシステムは確立してなかった。Th17細胞系譜レポーター系統(IL-17-iCre R26R-eYFP)およびIL-17産生Th17細胞レポーター系統(IL-17-IRES-eGFP)を用い、レポーター蛍光と細胞表面マーカーを組み合わせることでエフェクターTh17細胞とメモリーTh17細胞の分離・同定に成功した。エフェクターTh17細胞は、リンパ節、脾臓、腸管組織、炎症関節など幅広い臓器で分布が認められた。逆に、メモリーTh17細胞の分布は脾臓に偏在しており、炎症組織内ではほとんど存在しなかった。これらの結果から、メモリーTh17細胞とエフェクターTh17細胞は明らかな組織分布および表現型の違いを示し、次年度以降の解析に向けた足がかりがえられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、炎症性Tヘルパー細胞の記憶獲得・維持機構の分子基盤を理解するため、これまで実態が掴めていないメモリーTh17細胞の表現型解析を進めている。本年度の成果として、細胞系譜レポーターマウスを用いてメモリーTh17細胞とエフェクターTh17細胞を比較し、メモリーTh17細胞特異的な表現型と生体内での性質が明らかになってきた。期待した研究の進展が得られており、得られた表現型をマーカーとして次年度以降のさらなる遺伝子発現プロファイル解析を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、29年度の研究計画の継続に加えて、メモリーTh17細胞について以下の解析を進める。上述したシステムを用いて、メモリーTh17細胞とエフェクターTh17細胞をセルソーターで分取し、これらサンプルの遺伝子発現プロファイルを次世代シークエンサーを使って進める。得られたデータをクラスター解析、ネットワーク解析などバイオインフォマティクスの手法を用いてメモリーTh17細胞特異的な遺伝子群の同定を進める。機能的な候補遺伝子については定量的PCRをおこない発現差を検証する。
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Causes of Carryover |
29年度に予定していた遺伝子発現プロファイル解析を30年度の研究計画に変更したため。30年度研究費と合わせて次世代シークエンサー解析をおこなう予定である。
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Research Products
(5 results)