2017 Fiscal Year Research-status Report
骨髄系ITAM受容体を利用した新規感作性化合物試験法の開発の基盤研究
Project/Area Number |
17K19567
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
原 博満 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20392079)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | アレルギー / 接触皮膚炎 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
多種類のハプテンに反応性を示したIgsfR2のノックアウトマウスの作成に着手した。そのため、ゲノム編集技術を用いたノックアウトマウスの作成のシステムを動物施設と共同で本学において立ち上げることを試みた。まずIDT社のCRISPR-Cas9系を用いてIgsfR2ノックアウト用のRNPを作成し、C57BL/6マウスの受精卵にマイクインジェクションによって導入してF0マウスを作成した。この内、IgsfR2遺伝子に変異導入が確認されてマウスについてC57BL/6と交配を行い、F1マウスを得た。その結果、IgsfR2遺伝子領域が大きく欠失した4系統のF1ヘテロマウスを得た。今後、ホモマウスを作成し、IgsfR2のmRNAやタンパク発現を確認し、KOマウスを得る予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ITAMシグナルを検出する受容体発現レポーター細胞を用いたスクリーニングによって、ハプテン(感作性化合物)に結合し、ITAMシグナルを活性化するITAM受容体候補を2種類(仮名:IgsfR1 、IgsfR2)同定することができた。そのうち、より多くの化合物に結合活性を示したIgsfR2のアレルギー性接触皮膚炎誘導に関する役割を明らかにする目的で、ゲノム編集法を用いた候補受容体のKOマウス作成に取り組んだ。その結果、目的遺伝子の一部が欠失したF1マウスの完成までに至った。従って、研究計画は概ね順調に進んでいると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度F1マウスまで完成させた候補受容体IgsfR2のKOマウスを完成を目指す。マウス作成に成功した場合、これを用いたハプテン誘導性接触皮膚炎試験(CHS)を実施し、IgsfR2欠損が皮膚炎発症やハプテン特異的T細胞の誘導に及ぼす影響を解析することで、CHS誘導におけるこれら受容体の役割を明らかにする。 また、IgsfR2単独の欠損でCHS誘導に大きな影響が観察されなかった場合、もう一つの受容体候補であり、すでにKOマウスの存在するIgSF1に関してKOマウスを入手し、さらにこのマウスをIgSFR2と掛け合わせることでダブルKOマウスを作成し、これらのマウスを用いて同様にCHS試験を行って疾患における役割を検証する。これらの検討により疾患に関与する受容体が明らかになった場合、それを発現したリポーター細胞を作成し、アレルゲン性が報告されている様々な化学物質に関してレポーター 細胞活性化能を解析することで、このシステムが化合物のアレルゲン性検査に有用であるかを検証する。
|