2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K19571
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
七田 崇 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, プロジェクトリーダー (00598443)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 炎症 / 神経修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中の約7割が脳梗塞であるが、脳梗塞に対する有効な治療法はまだ乏しく、神経機能を改善する手段に至っては現状、リハビリのみである。脳梗塞後の炎症は、次世代の脳卒中医療を開発するための重要な治療標的と考えられており、炎症の収束を早め、修復を促進するような治療法の開発を目指す。 虚血壊死に陥った脳細胞から産生され、免疫細胞を直接的に活性化する内因性炎症惹起因子(DAMPs: danger associated molecular patterns)としてペルオキシレドキシンを生化学的に同定していたが、このDAMPsの排除が、脳梗塞後の炎症の収束に重要であることを世界に先駆けて報告した(Shichita, et al. Nature Medicine 2017)。すなわち脳梗塞後に生じるDAMPsは、梗塞巣に浸潤したマクロファージやミクログリアが発現するスカベンジャー受容体MSR1によって認識されて細胞内に取り込まれ、リソソームに運ばれて排除される。脳梗塞の炎症収束期(発症3~6日後)には、MSR1を高発現するマクロファージやミクログリアが脳内に観察され、これらは神経修復の機能を持つ栄養因子であるIGF1(Insulin-like growth factor 1)を産生する修復細胞であることを発見した。したがって脳内でMSR1を高発現する細胞を誘導できる薬剤を開発できれば、新たな脳梗塞治療剤となりえると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳梗塞後の炎症収束のための分子メカニズムを解明できており、研究計画として概ね予定通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
脳梗塞において炎症収束、神経修復を誘導する脳内因子を探索する。
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Causes of Carryover |
今年度は予定通りに研究が進捗し、研究費の執行についてもほぼ予定通りであった。年度末に委託予定であった次世代シークエンスの解析費用について、サンプル調製の問題で次年度に執行する必要が生じたため残額が生じたが、次年度に予定通り解析を実施するため研究費の執行には支障ない。
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