2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K19587
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
後藤 典子 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (10251448)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
MMTV-HER2/FRS2beta+/+マウスモデルと、MMTV-HER2/FRS2beta-/-マウスモデルの解析を行った。がん発症直前と、腫瘍増大過程において乳腺およびがん組織を採取し、スフィア形成後、細胞を回収し、DNAマイクロアレイ解析を行った。 GSEA解析を行ったところ、FRS2beta+/+マウス前癌乳腺及びがん細胞において、炎症シグナルが過剰に発現していることがわかった。IGF1やCXCL12などのサイトカインの産生が実際に上昇していることを、免疫組織染色でも確認できた。その原因として、NFkBの活性が上昇することもわかった。腫瘍形成過程において、IGF1Rの阻害剤もしくはCXCL12阻害剤を投与することにより、腫瘍形成が著明に抑制された。 マウス乳腺において、FRS2betaは、ルミナル前駆細胞に限局的に発現することがわかった。乳腺内で、FRS2beta依存性にがん幹細胞ニッチが形成され、この中でがん幹細胞が発生することがわかった。乳腺内前駆細胞ががん微小環境形成に重要な役割をはたすことがわかった。 これまで、がん微小環境を構成する細胞群のうち、がん間質細胞、血管内皮細胞、免疫細胞が注目されてきたが、癌発生の母地となる乳腺前駆細胞とのものががん微小環境を形成する重要な役者であることを世界で初めて示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MMTV-HER2/FRS2beta+/+マウスモデルと、MMTV-HER2/FRS2beta-/-マウスモデルの解析を行った。がん発症直前と、腫瘍増大過程において乳腺およびがん組織を採取し、スフィア形成後、細胞を回収し、DNAマイクロアレイ解析を行った。IGF1やCXCL12などのサイトカインの産生が実際に上昇していることを、免疫組織染色でも確認できた。その原因として、NFkBの活性が上昇することもわかった。腫瘍形成過程において、IGF1Rの阻害剤もしくはCXCL12阻害剤を投与することにより、腫瘍形成が著明に抑制された。マウス乳腺において、FRS2betaは、ルミナル前駆細胞に限局的に発現することがわかった。乳腺内で、FRS2beta依存性にがん幹細胞ニッチが形成され、この中でがん幹細胞が発生することがわかった。乳腺内前駆細胞ががん微小環境形成に重要な役割をはたすことがわかった。 以上を現在論文としてまとめ、投稿するところである。 MMTV-HER2/FRS2beta-/-マウスは、がん発症が遅延しておこる。その後の経過より、肺転移が高頻度に起こることがわかった。MMTV-HER2/FRS2beta+/+マウスモデルでは、原発がんの増大は早いが、肺転移はほとんど起こらず、興味深い。FRS2betaに対する標的治療を施したのちの再発がんのモデルとして優れているので、今後はこの解析も行う。
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Strategy for Future Research Activity |
初発がんの解析により、これまで世界的にも報告のない前駆細胞ががんの微小環境を構築することがわかった。この成果をまず、インパクトファクターの高い論文として発表することを優先事項として、進める。 同時に、再発がんモデルの解析を進める。
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Causes of Carryover |
次年度のプロジェクトにて行う次世代シークエンス解析・RNAシーケンス解析に多くの費用を使うことが分かった。 次世代シーケンス解析、RNAシークエンス解析で用いるサンプルを精製する試薬およびマウス等を使用する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] The RB-IL-6 axis controls self-renewal and endocrine therapy resistance by fine-tuning mitochondrial activity.2017
Author(s)
Kitajima S, Yoshida A, Kohno S, Suzuki S, Nagatani N, Li F, Nishimoto Y, Sasaki N, Muranaka H, Wan Y, Thai T, Okahashi N, Matsuda F, Shimizu H, Nishiuchi T, Suzuki Y, Tominaga K, Gotoh N, Suzuki M, Ewen M, Barbie D, Hirose O, Tanaka T, Takahashi C
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Journal Title
Oncogene
Volume: 26
Pages: 5145-5157
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] An autocrine/paracrine circuit of growth differentiation factor (GDF) 15 has a role for maintenance of breast cancer stem-like cells2017
Author(s)
Sasahara A, Tominga K, Nishimura T,Yano M, Kiyokawa E, Noguchi Miki, Noguchi Masakuni, Kanauchi H, Ogawa T, Minato H, Tada K, Seto Y, Tojo A, Gotoh N.
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 8
Pages: 24869-24881
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Addiction to the IGF2-ID1-IGF2 circuit for maintenance of the breast cancer stem-like cells2017
Author(s)
Tominaga K, Shimamura T, Kimura N, Murayama T, Matsubara D, Kanauchi H, Niida A, Shimizu S, Nishioka K, Tsuji E, Yano M, Sugano S, Shimono Y, Ishii H, Saya H, Mori M, Akashi K, Tada K, Ogawa T, Tojo A, Miyano S, Gotoh N
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Journal Title
Oncogene
Volume: 36
Pages: 1276-1286
Peer Reviewed / Open Access
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