2019 Fiscal Year Research-status Report
ムチンプロファイル解析による粘液線維肉腫の悪性形質発現機能の解明
Project/Area Number |
17K19627
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
亀山 昭彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (80415661)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | ムチン / 粘液線維肉腫 / 分子マトリックス電気泳動 / 糖鎖 / 粘表皮がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、骨軟部腫瘍、特に粘液線維肉腫において発現量が変化するムチンおよびその糖鎖について、研究代表者が世界に先駆けて開発したムチン解析法である分子マトリックス電気泳動法を用いたムチンプロファイル解析を行い、従来の病理診断、組織学的悪性度等と対比させることにより、ムチンの種・質・量に着目した粘液線維肉腫に関する新たな疾患概念の確立や、その発生、浸潤性に関わる分子機構の解明、さらには新たな血清診断マーカーの発見を目指す。 これまでに、浸潤性粘液線維肉腫ではムチンはほとんど分泌されておらず、一方でヒアルロン酸が大量に発現されていることを明らかにした。粘液線維肉腫は希少がんであり新鮮凍結試料が得られなかったため、ホルマリン固定組織からのムチンプロファイル解析法について重点的に開発を進めた。ブタ顎下腺組織のホルマリン固定化試料をモデルとして種々条件を検討したが、一般的な方法ではムチンを抽出することができなかった。その後、別の薬品処理による方法を検討し、ホルマリン固定組織を溶解させることが可能となったが、凍結組織から抽出したムチンとホルマリン固定組織から抽出したムチンでは分子マトリックス電気泳動における泳動位置が異なることが明らかとなった。今後、これらのムチンの糖鎖に違いが生じていないかを詳細に調べる必要がある。また、粘液線維肉腫の関連疾患として粘表皮がんのムチンについても分子マトリックス電気泳動による分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに浸潤性粘液線維肉腫のムチンプロファイル解析を行ったが、浸潤性粘液線維肉腫ではムチンはほとんど分泌されておらず、一方でヒアルロン酸が大量に発現されていることを明らかにした。非浸潤性の粘液線維肉腫との比較を行い浸潤性との関連を究明する予定であったが、粘液線維肉腫は希少がんであり新鮮凍結組織を得ることができなかったため、過去の症例のホルマリン固定組織を用いたムチンプロファイル解析を可能とするべく、その方法論の検討を開始した。薬品処理を行う方法を開発しホルマリン固定組織を溶解することは可能となったが、分子マトリックス電気泳動におけるムチンの泳動位置が変化してしまうため、この化学処理がムチン自身やムチンの糖鎖にどのような影響を与えているかを明らかにする必要性が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
粘液線維肉腫は希少がんであり検体数が少ない。したがってこれまでに蓄積されたホルマリン固定パラフィン包埋検体が利用できれば、より短期間で病態とムチンプロファイルとの相関を明らかにできる可能性がある。そのため、引き続きホルマリン固定組織からのムチン抽出法の検討を継続し、分子マトリックス電気泳動と組み合わせてムチンプロファイルを明らかにすることができるように方法論を確立する。また、粘液線維肉腫関連疾患として、同じように粘液を産生する腫瘍である粘表皮がんについても同様の実験を行い、ムチンやその糖鎖がどのように病態発現に関与するか、そのメカニズム解明へつながる知見を得る。
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Causes of Carryover |
研究対象である粘液線維肉腫は希少がんであるため新鮮凍結組織を予定通り入手できておらず、データの取得に時間がかかっている。また、、過去の症例のホルマリン固定組織を用いたムチンプロファイル解析の検討を開始しているが、方法論の確立に想定外の時間を要している。さらに、実験実施場所の移動があり約2か月の実験停止期間があった。2020年度はその遅れを取り戻すべく、引き続きホルマリン固定組織のムチンプロファイル解析の方法論を確立するために実験補助員を半年間雇用する。また、これらの実験を実施するための消耗品費として利用する計画である。
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Research Products
(1 results)