2017 Fiscal Year Research-status Report
神経細胞興奮と脳内酸素動態検出を同時施行する頭蓋骨内埋込型極薄膜電子シートの開発
Project/Area Number |
17K19634
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
太田 裕貴 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (30528435)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | フレキシブルセンサ / MEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はパルスオキシメータの基礎原理の確立とシステム設計に従事した。また、今後、生体へのセンサのコンタクト(接触・設置)の向上を図るために、液体金属を用いたセンサー・生体のインターフェースの開発にも従事した。パルスオキシメータの基礎原理の確立及びシステム設計は従来法の確認と、その実証に十分な時間が必要であるとともに、現在までに商用で数多くのパルスオキシメータ技術の確立が行われているため国際論文誌などの形で今年度は実績を出すことが出来なかった。しかしながら、本研究プロジェクトの一部である液体金属など柔軟材料で作製したインターフェースの開発から派生したデバイスは、Advanced Materials誌に掲載された。更に、4月に開催されたIEEE NEMS 2018にてBest Oral Presentation Paper Awardを授与された。本研究プロジェクトで派生した研究トピックスだとはいえ、世界へ本研究プロジェクトの十分なアピールが出来た。また、その派生した研究トピックスを更に発展させた新たなセンサ技術の開発も終了しつつあり、もう一つ新しいコンセプトの柔軟材料を使用したセンサの論文発表を本年度に行うことができるものと考えられる。パルスオキシメータは上述にあるように基本構成と無線化を含めたシステム設計は終わっており、今後スタンドアローンで動作しかつ小動物に実装できるような形に小型化と薄膜化を行う予定である。次年度の早い時期にデバイスの完成ができ、今年度の後半には実装できるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、Optogeneticsで使用する光源と、パルスオキシメータの同時計測を可能にする薄膜型デバイスを開発することと、脳など人体の中で非常に柔らかいとされる細胞組織体に対して負担が少ないような柔軟デバイス及びシステムを開発することにある。そのために、まずはパルスオキシメータの基本原理の確認と、基本デバイスを作製した。脳上の血中酸素濃度計測を最初から試作したデバイスで行うことは非常に困難であるとともに実験費用が膨大になることから、一般的に使用されるパルスオキシメータのリバースエンジニアリングを行った。今後、赤と緑のOLEDを使用することになる関係上、従来のパルスオキシメータの赤外LEDは使用せずに赤LEDと緑LEDを使用する形のパルスオキシメータを開発した。実際の構成としては赤LEDと緑LEDから出た光の反射光から脈波を検出し、その吸光度の差分から血中酸素濃度を検出する。本年度は、基本原理を構築しBluetoothを介して表示することまでを実現し今後小型化と薄膜化をはかる。更に、その研究開発の派生研究として液体金属など超柔軟材料を用いた超柔軟電極によるフレキシブル圧力デバイスを開発した。これは、脳内血流や脳機能に関して脳の柔らかさは非常に重要なパラメータである。更に、脳への圧迫は重大な機能障害を与える。従来のセンサでは電極部分が金属で作成されているため非常に硬く脳にダメージを与える可能性があった。そのため、その電極部分を液体金属で作成することで人体に与える影響を最小限に抑えた圧力センサを開発した。本研究の派生研究として十分な結果を残すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度までに、パルスオキシメーターと無線伝送システムに関しては終了している。本プロジェクトの計画としては、有機LEDとマッピング回路を1年目までに実現する予定であった。その上でH30年度は、実際に作成したパルスオキシメータの無線伝送システムの開発に取り掛かる予定であった。H29年度は、無線伝送システムの開発を前倒しで行った。その代わりに、H30年度は、H29年度の研究予定であったマッピングをまずは行う。その際に、研究計画では有機LEDを用いていたが、近年超小型無機LEDが量産されていて脳上にLEDを設置しても脳への圧迫が少なく、必ずしも本プロジェクトでOLEDを用いる必要がなくなった。そのため、今後の動物実験系での安定的使用を加味したうえで超小型無機LEDを実装できるようにデバイス設計を行う。その上で、システムと無線伝送のモジュールの小型化を行い動物(マーモセット)に対して動きを邪魔するようなことがないようなシステムサイズを目指す。加えて、新たな課題としてバッテリーと発熱の問題がある。本研究では冷却機構に関しても検討を行う。現状、高効率で小型の冷却機構が存在せず液体金属と流路を用いた高効率冷却機構の開発も派生研究として行う。特に脳上の温度上昇はマーモセットに重篤な障害を引き起こす危険があるため、この派生研究はプロジェクト遂行上非常に重要である。その上で上述にある発光機構、受光機構、パルスオキシメータ、冷却機構からなるシステムを実装して本研究プロジェクトを完遂する。
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Causes of Carryover |
当該年度の使用額273万円の中の2.1万円である。回路素子や基板材料などの節約の努力により次年度使用額が生じた。次年度は当該年度に発生したデバイスの問題点(冷却機構)の解決のための素子開発に用いる。
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Research Products
(2 results)