2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel fungal vaccine with glycolipid antigens
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17K19642
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川上 和義 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10253973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 秀輝 新潟大学, 研究推進機構, 特任助教 (90799082)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 真菌ワクチン / 糖脂質抗原 / クリプトコックス / アスペルギルス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、免疫不全宿主の増加にともない真菌感染症が増加している。わが国で頻度が高いのは、アスペルギルス、カンジダ、そしてクリプトコックス症とされている。真菌感染症は一度発症すると難治化し予後不良となることが多いため有効な治療法とともにワクチンの開発が望まれるが、現在臨床で使用可能なものは皆無である。本研究では、真菌の病原性に重要なβ-glucosylceramide(β-GlcCer)を用いた新規ワクチンの開発を目指している。 これまでに我々は、β-GlcCerがクリプトコックス感染マウスに特異的IgM産生を誘導し感染防御効果を示すことを明らかにしてきたが、今年度の研究により、β-GlcCerの投与量を増加させることで特異的IgGの産生が誘導されることを見出した。糖脂質抗原であるβ-GlcCerがどのようにIgMからIgGへのクラススイッチを誘導するのか不明であるため、これまでの我々の研究から明らかになった胸腺非依存性抗原(肺炎球菌莢膜多糖ワクチン)によるIgMからIgGへのクラススイッチに重要なiNKT細胞を欠損したJα18KOマウスを用いてその影響を検討したが現時点では大きな影響がみられていない。また、免疫系によるβ-GlcCerの認識機構を明らかにするために、Dectin-1、Dectin-2、Mincleレポーター細胞を用いて検討したところ、β-GlcCer によるMincleレポーター細胞の活性化が検出された。 これらの結果から、β-GlcCer投与によって特異的なIgM抗体のみならずIgG抗体が産生されることが明らかになり、Mincleによるβ-GlcCerの認識が関与する可能性が示唆された。IgGへのクラススイッチに関わるIFN-γの産生細胞としてiNKT細胞の可能性を考えているが、この点については今後さらに解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね研究計画に沿った結果が得られつつあり、これまで未知の部分が多かった糖脂質に対する抗体産生機序に迫る可能性も出てきている。
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Strategy for Future Research Activity |
β-GlcCerのワクチン効果をクリプトコックスのみならず臨床的により頻度の高いアスペルギルスにまで拡げて検討するとともに、糖脂質抗原のβ-GlcCerに対する抗体産生機序の解明へ向けてさらなる解析を実施する。
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