2018 Fiscal Year Research-status Report
Impacts of Dysfunction in Cardiac Macrophage on Heart Disease
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17K19644
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤生 克仁 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (30422306)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | マクロファージ / 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全は高齢者において最大の医療費を費やしている疾患であるにも関わらず、5年生存率50%と生命予後の悪い疾患である。心不全の基本的病態は心臓からの拍出が低下するポンプ失調であり、それを担う細胞は心筋細胞である。これまで心不全の新しい治療標的を検討する上で、心筋細胞に着目した研究がほとんどであったが、我々は我々は心臓を構成する細胞の内、細胞数比で約1%しか存在しない心臓マクロファージが心筋細胞の収縮力の維持に必須であることを見出した。 しかし心臓マクロファージの心臓の基本的恒常性維持に必要であることまでは分かったが、心臓マクロファージがもとになって心不全が発症するかどうかなどは、いまだまったく不明である。今回我々は心不全が老化に伴って増加してくる老化関連疾患であるという観点から、心臓マクロファージが老化した際に心臓への影響がどのように変化するのかという検討を行うこととした。 まず、マウスモデルを用いて、心臓マクロファージは老化した個体ではどのように変化が生じるのかを明らかにするために、遺伝子発現変化、エピジェネティック変化などに着目し、検討を行い、老化に伴う変化の実態を把握する。また、その老化に伴う変化はどのような因子によって生じる変化かどうか、同定した老化関連因子への介入によって、心臓機能にどのような影響が出るのかを明らかにする。 心不全の発症を心臓の老化ととらえ、さらにその心臓の老化は心臓の免疫系細胞の老化によってドライブされるという新しい概念を提供するとともに、新しい治療標的を同定、治療への可能性を検討することを目的とする
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、心臓マクロファージの経年変化に重要な因子Xを同定することに成功した。エピジェネティック変化を惹起し得る因子Xをレンチウィルスを用いたCRISPR/CAS9システムを用いたノックアウトを行ったところ、若年のマウスにおいても経年変化した心臓マクロファージを得ることが出来た。当初の研究開発では、この因子Xの同定を目的とし、そのin vivoでの効果を同定することを目的としており、この目的は達成していると考えているが、in vivoでの効果をさらに確定させるために、マクロファージ特異的ノックアウトマウスを作成することとした。このため、研究期間を1年延長して、解析を継続することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
心臓マクロファージの経変変化、および経年変化によるストレス応答に変化を与える因子Xのマクロファージ特異的ノックアウトマウスを用いて、この因子の心臓マクロファージでの働きをin vivoで同定する。前年に確認し得たレンチウィルスに搭載したCRISPR/CAS9を用いたノックアウトマウスの結果が正しいかどうかを検証する。良好な結果が得らえれた場合には、この因子Xがどのようなエピゲノム変化、その結果どのような下流因子を制御して心臓全体にストレス応答を惹起しているのかを次世代シーケンサーを用いて検討する。この結果が得らえた後に論文化を行う。
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Causes of Carryover |
これまでに得られた結果をノックアウトマウスをさらに作成して検証する必要が生じた。このため、ノックアウトマウスの作出を行っているが、現時点ではまだ解析結果が得られておらず、次年度に解析を行うようにするために、研究期間を1年間延長したため。
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