2017 Fiscal Year Research-status Report
Improvement of BNCT therapeutic gain based on selective protection of normal cells by LAT 2 inhibitor
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17K19671
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Research Institution | Southen Tohoku Research Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
廣瀬 勝己 一般財団法人脳神経疾患研究所, 南東北BNCT研究センター, 診療所長 (60623767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 まり子 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (30645263)
安西 尚彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70276054)
高井 良尋 一般財団法人脳神経疾患研究所, 南東北BNCT研究センター, センター長 (50107653)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / BPA / アミノ酸トランスポーター / LAT2 |
Outline of Annual Research Achievements |
LAT2阻害薬による正常細胞の選択的防護の検討(in vitro) 1)LAT2選択的阻害剤の合成 LATを特異的に阻害する化合物として知られているBCH(2-aminobicyclo(2,2,1)heptane-2-carboxylate)に類似する化合物検索の結果、選出されたLAT2選択的阻害活性を有する化合物が見出された。まず本化合物の合成過程の検討を試み、初期の原料から8つの行程の反応を経て最終産物の合成に至る過程を決定した。実際に反応が進行しうるかどうかの検討を行うため、各段階において予定される反応生成物に類似する化合物をもちいて各反応の進行を確認した。1から3まで、および7段階目における反応まで確認されており、現在途中段階で生じるラセミ体の光学分割によるL体の濃縮を検討している段階である。 2) LAT2阻害作用選択性の評価にむけた実験系の確立 合成された薬剤が複数のサブを有するLアミノ酸トランスポーターのうちのLAT2のみに特異性を有することを確認するため、LAT2の選択的阻害作用の評価に用いるin vtiroの実験系の確立を試みる必要がある。そこでまず腫瘍細胞株におけるLAT2の発現を評価した。ヒト膠芽腫細胞であるT98GやA172においては、LAT2の発現は全く認められなかった。一方で、SASにおいてはLAT2の定常的な発現が確認された。LAT1についてはいずれの細胞でも強発現が認められた。またこれらの発現は低酸素の影響を強く受け、低酸素状態で発現が低下することが明らかとなった。発現は低酸素誘導因子であるHIF-1の蓄積を介して低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、LAT2選択的阻害薬の合成を実施してから、その作用の特異性を評価する必要があり、合成の段階での進捗が研究の進捗に大きく影響する。LAT2阻害剤としての可能性が見出された化合物の化学合成の過程は当初の想定よりも多く、8行程を要した。各反応系の検討を平行に進めることでそれらの短縮を図ってきた。しかしながら各合成過程それぞれにおいて課題が生じその解決のため更なる進行の遅れが山積、現在その最終段階であるラセミ体の分離法の検討に時間を要してしてしまい、実質的に当初の計画より遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
合成と平行して、in vitroでのLAT2阻害作用選択性の評価にむけた実験系の確立を進める。合成された薬剤について、液体クロマトグラフィーによる純度の検討を行ったあと、in vitroで評価を実施する。 1-1)LAT2選択性と細胞毒性の検討として、完全長のヒトLAT1もしくはLAT2の完全長cDNAを発現ベクターpcDNA3.1(+)にサブクローニングし、HEK293細胞にトランスフェクションする。この細胞を用いて、LAT2阻害薬のL-leucine取り込み抑制作用を測定する。結果よりL-leucine取り込みを50%抑制する濃度 (IC50)、およびLAT2選択性 (LAT1(IC50)/LAT2(IC50))を求める。さらに細胞ストレスを評価する。また、細胞毒性の評価として、コロニー形成法を行う。1-2)BPA取り込み抑制の選択性の評価として、各種腫瘍細胞を、LAT2阻害薬存在下に培養する。その後L-BPAを至適濃度で添加し2時間培養し、その後免疫蛍光法を用いて細胞内のL-BPAをホウ素インジゲーター試薬の染色のもと、フローサイトメトリーで定量化する。また細胞内分画での局在を共焦点レーザー顕微鏡を用いて可視化する。1-3)中性子照射後の細胞傷害の選択性の評価として、LAT2阻害薬存在下に培養後L-BPAを添加し2時間培養後に中性子線を照射する。コロニー形成法を用い生存率を定量化する。 2-1)正常細胞の選択的防護の評価として、皮膚の組織学的変化およびコラーゲン量の変化を観察する。2-2)線量増加耐容試験と線量効果比の検討および正常組織への影響評価として、腫瘍皮下移植マウスを用いて、L-BPAを投与し、中性子線量を照射する。照射後の腫瘍体積を経時的に測定し、抗腫瘍効果を評価する。
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Causes of Carryover |
本研究課題において評価すべきLAT2選択的阻害薬はまだ得られておらず、予定していたLAT2選択的阻害薬の薬効評価を実施する段階に至らず、予備検討のみで留まるに至った。このため当初の研究費予算に未使用額が発生し次年度への繰越が生じた。次年度においてLAT2選択的阻害薬の合成が終了することが見込まれているので、今年度未実施であった薬効評価を実施すすると共に、これに必要な消耗品へ繰越額を充当する計画である。
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