2018 Fiscal Year Research-status Report
Intercellular communication mediated by mitochondrial particle
Project/Area Number |
17K19672
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
伊藤 雅史 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (80393114)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
Keywords | Mitochondrial particle / 細胞間クロストーク / ミトコンドリア機能異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、近年新たに提唱された機能的なミトコンドリアを含むMitochondrial particle(MP)を介した細胞間相互作用の生理的・病理的な役割と意義を解明することを目的としている。具体的に、ミトコンドリアDNA(mtDNA)変異を有するミトコンドリア病のモデル細胞を用いて、MPに存在するタンパクのプロファイリングとミトコンドリア機能が異なる細胞間でのMPを介したクロストークの検証、さらに脳組織からのMP単離法の確立と老化及び神経変性疾患に伴うMPの変化を明らかにする。 平成30年度は、mtDNA変異を有するサイブリッド細胞(2SD細胞)と正常mtDNAを有するサイブリッド細胞(2SA細胞)の細胞培養上清からMPを回収し、プロテオーム解析を実施した。その結果、1583種類のタンパク質が同定され、「mitochondrion」のアノテーションが付加されているタンパク質は244種類であった。同定された全タンパク質の中から、2SA細胞由来MPと比較して2SD細胞由来MPで発現変化を示すタンパク質を選抜したところ、増加するタンパク質が80種類、減少するタンパク質が70種類同定された。これらの内、「mitochondrion」のアノテーションが付加されているタンパク質はそれぞれ20種類、12種類であった。 以上により、mtDNA変異によるミトコンドリア機能低下を示す細胞のMPに特徴的なタンパク質群が同定された。これらの分子はミトコンドリア機能が異なる細胞間でのMPを介したクロストークに関与する可能性が考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サイブリッド細胞の細胞培養上清から回収できるMPの量が当初の想定よりかなり少なく、細胞間クロストークの解析を行うには、回収方法の検討と実験計画の見直しが必要となった。そのため、研究実施期間を1年間延長することになった。その後、種々の検討を行った結果、比較的高収量が期待できるMPの回収方法を確立し、プロテオーム解析を実施することができた。それにより、ミトコンドリア機能低下を示す細胞のMPに特徴的なタンパク質群を同定した。当初の計画から遅れているが、平成31年度に残りの課題を達成する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.プロテオーム解析で同定したミトコンドリア機能低下を示す細胞のMPに特徴的なタンパク質のウエスタンブロット解析を行う。再現性が得られれば、同定されたタンパク質に着目した機能解析を実施する。 2.ミトコンドリア機能低下を示す細胞から単離したMPをミトコンドリア機能が正常な細胞に処理し、MPの取り込みと細胞内挙動、MPが細胞及びミトコンドリア機能に及ぼす影響を検討する。また、ミトコンドリア機能が正常な細胞由来のMPをミトコンドリア機能が低下した細胞に処理し、同様の解析を実施する。 以上により、ミトコンドリア機能が異なる細胞間でのクロストークにおけるMPの役割と意義を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
理由:サイブリッド細胞から放出されるmitochondrial particle (MP)の解析を予定していたが、細胞培養上清から回収できるMPの量が想定よりかなり少なく、回収方法の検討と実験計画の見直しが必要となった。
使用計画:ミトコンドリア機能低下を示す細胞由来のMPに特徴的なタンパク質の同定及びMPを介した細胞間クロストークの解析に必要な研究用試薬・機器等の購入に使用する。
|