2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K19701
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
清木 誠 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50226619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅岡 洋一 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10436644)
北川 孝雄 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教(特命) (20614928)
木村 和博 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60335255)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | YAP / メカノホメオスターシス / 角強膜線維柱帯細胞 / 3次元培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の体の中で、全ての細胞は3次元で存在し独自の物理的な特性、すなわち細胞とそれを取り巻く細胞外環境の形、硬さ、張力を持っている。最近、これらの3次元組織の物理特性が、臓器の生理機能と病態発症に重要な役割を果たすことが明らかになってきた。特に、臓器の大きさを制御するHippo-YAPシグナル系は、組織の物理特性に正確に応答し、細胞の増殖・分化を緻密に制御しており、破綻するとがんなどの病態を引き起こす。我々は、転写共役因子YAPが生体において組織の物理特性をモニターし制御するメカニズムを世界に先駆けて見出し、YAPメカノホメオスターシスと名付けた(Porazinsiki et al., Nature, 2015)。そこで本研究では、組織の物理特性を反映するYAPメカノホメオスターシスを指標に、生体の物理特性をより正確に反映した細胞培養実験系のプロトタイプを開発することを目標とする。本年度は、物理特性に敏感に影響を受ける臓器として眼球を取り上げた。特に角強膜線維柱帯細胞 (Trabecular meshwork cell;TM細胞)は、眼球の物理特性である眼圧を調節しており、物理特性に敏感に反応する細胞であることが想定される。そこでTM細胞の長期安定培養法の確立を目指し、多孔質膜を用いた新規3次元培養系を構築し、培養条件の様々な検討を試みた。その結果、生体内と同様のTM細胞のメッシュ様構造を再現できる条件を見出すことができ、かつ1年以上の長期にわたり安定して細胞を生育できる培養法の樹立に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の本年度の研究実施計画では、より生体に近い物理条件でTM細胞の網目構造を構築することを第一目標に掲げており、実際に多孔質膜上でTM細胞の網目構造を形成する方法を確立し、TM細胞を長期にわたって3次元培養することに成功した。従って本研究課題の本年度における進捗状況は概ね順調であると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今回構築した新規3次元培養系において、炎症性サイトカインの添加と細胞外基質の硬度調節を行うことにより、TM細胞のメカノホメオスターシス破綻系を樹立する予定である。さらに、TM細胞にYAPの転写活性を可視化するためのレポーターを導入した上で、メカノホメオスターシスの破綻を回復する薬剤スクリーニングを行うことにしている。組織の線維化・硬化については、眼球においてTM細胞が中心的な役割を担っていると考えられる。世界に先駆け見出した組織の硬さという新しい視点により見出す低分子化合物は、難治性の組織線維化を改善する薬剤開発ためのリード化合物となることが期待できる。
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Causes of Carryover |
本年度はTM細胞の長期的な安定培養法の確立を目指し、多孔質膜を用いた新規3次元培養系を構築することを第一目標と掲げていた。新規培養法の構築には多くの培養条件の検討が必須であり、そのため当初の研究計画では条件検討に必要とされる消耗品の費用を多く計上していたが、実際は予定よりも消耗品費用の支出が少なく済んだため、次年度使用額が発生した。 本年度の未使用分についてはこれを次年度に繰り越し、今回構築した新規3次元培養系において、TM細胞のメカノホメオスターシス破綻系の樹立および破綻の分子メカニズム解析のための消耗品費として使用する予定である。
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[Journal Article] Effect of histidine on sorafenib-induced vascular damage: Analysis using novel medaka fish model.2018
Author(s)
Shinagawa-Kobayashi Y, Kamimura K, Goto R, Ogawa K, Inoue R, Yokoo T, Sakai N, Nagoya T, Sakamaki A, Abe S, Sugitani S, Yanagi M, Fujisawa K, Nozawa Y, Koyama N, Nishina H, Furutani- Seiki M, Sakaida I, Terai S.
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun.
Volume: 496
Pages: 556-561
DOI
Peer Reviewed
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