2019 Fiscal Year Research-status Report
アレスチンと痛覚受容体の機能連関に注目した新たな慢性痛発症メカニズムの解析
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17K19704
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
天谷 文昌 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60347466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 貴之 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30303845)
大橋 憲太郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (50332953)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | GRK2 / 痛覚過敏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は痛覚受容体の機能制御が破綻し、痛覚伝達が過剰となることが痛覚過敏を惹起し慢性痛の原因となるという仮説を検証する目的で行う。これまで、知覚神経におけるG-protein coupled receptor kinase (GRK2)の発現をウェスタンブロッティングによって解析する実験を実施し、さらに、同じ抗体を用いて免疫組織化学法を実施し、後根神経節におけるGRK2陽性ニューロンを可視化することに成功した。また、種々の疼痛モデルを作成し、モデル動物におけるGRK2の発現を検討した結果、術後痛モデルの回復期にGRK2の発現が増加していることが明らかとなった。 2019年度には、神経障害性疼痛および慢性炎症モデルにおけるGRK2の発現解析を行った。神経障害性疼痛モデルとして坐骨神経絞扼モデル、慢性炎症モデルとしてアジュバンド投与による即詠炎症モデルを用いた。行動解析を行って痛覚過敏が成立していることを明らかにし、モデル動物から後根神経節を採取して免疫組織化学法とウェスタンブロッティング法によりGRK2の発現量を調査した。その結果、いずれのモデルにおいてもGRK2の発現に大きな変化は認められなかった。また、術後痛モデルにおけるGRK2の発現増加が疼痛の発症にどのように関係するのかを明らかにするため、GRK2阻害剤の痛覚閾値に対する影響を観察した。術後痛モデル作成後回復期にGRK2阻害剤をモデルラットに投与すると、回復した痛覚閾値が再び低下する減少が認められた。このため、GRK2が術後痛モデルにおいて急性痛の消退に関与する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、GRK2が制御するGタンパクを同定することを課題の一つとしているが、まだ実施できていない。また、術後痛モデルにおけるGRK2の発現を調節する分子の同定も必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
GRK2賀制御するGタンパクについては、二次元電気泳動を応用したリン酸化タンパクの網羅的解析を計画している。術後痛モデルにおけるGRK2の発現を調節する分子の候補として種々の神経栄養因子を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度には二次元電気泳動を応用したリン酸化タンパクの網羅的解析を計画しているが、試薬が高価なため本研究費を充当させる。あわせて、GRK2の発現を制御する神経栄養因子の同定にも研究費を使用する。
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