2017 Fiscal Year Research-status Report
変形性関節症制圧を目指した新規免疫ネットワーク解析手法を用いた治療薬の開発
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17K19707
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野寺 智洋 北海道大学, 大学病院, 講師 (70547174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
テルカウィ アラー 北海道大学, 医学研究院, 助教 (00723074)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 変形性関節症 / ダメージ関連分子パターン / マクロファージ / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
軟骨破片、マクロファージ、軟骨細胞を用いた関節内を模擬するvitro共培養モデルを作成した。4週齢の野生型マウス大腿骨頭軟骨より採取した軟骨を、組織破砕機を用いて粉砕して軟骨破片を作成した。また同様の方法で人工膝関節置換術時に破棄されるヒト関節軟骨正常部分を使用し、ヒト軟骨破片を作成し、これらについて走査型電子顕微鏡及び、粒度分布計で計測を行った。また、骨髄由来MΦと軟骨細胞をマウスから採取し軟骨破片との共培養を行った。さらに人工関節置換手術時に破棄される軟骨組織、ヒト骨髄液を回収し、軟骨組織から軟骨破片を、骨髄液から骨髄細胞を骨髄由来マクロファージに分化させヒト軟骨破片との共培養を行った。 作成したマウス、ヒトの軟骨破片は不整で、大きさはマウスが直径平均3.11μm(0.54-55μm)、ヒトは5.20μm(0.34-65μm)であった。作成したマウス、ヒトの軟骨破片について、これらの形状・大きさは疾患患者における軟骨破片とほぼ同等であった。 本研究ではこれらの軟骨破片を用いてMΦを介する軟骨細胞への影響を解析するために、マクロファージ共培養モデルを作成した。本モデルにおいて軟骨破片はマクロファージを介する炎症反応を惹起し、軟骨細胞のcatabolic factorを増加させた。軟骨破片は免疫細胞と反応し炎症反応を惹起するDAMPs (Damage associated molecular patterns)として作用し、マクロファージから炎症性サイトカインが放出したためと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 形状・大きさがOA患者における軟骨破片とほぼ同等なマウス、ヒト軟骨破片の作製した。 2. 作製した軟骨破片を用いたマクロファージ共培養モデルの作成に成功した。 3.本モデルにおいて作製した軟骨破片がマクロファージを介する炎症反応を惹起し、軟骨細胞のcatabolic factorを増加させた。 これらの成果から、おおむね研究計画に沿った研究モデルの作製に成功したと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で作成した軟骨破片共培養モデルを用いて、本モデルでのマクロファージ、軟骨細胞の網羅的遺伝子発現解析を予定している。将来的な展望としては、それにより変形性関節症における重要なシグナルを同定し、そのシグナルの抑制による効果を評価していくことで変形性関節症の新たな治療薬の開発につなげていく。
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Causes of Carryover |
次年度予定しているトランスクリプトーム解析にかかる費用確保のため、約30万円を繰り越した。次年度第1四半期中に同解析に繰り越費用を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)