2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K19723
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
楯谷 一郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (20526363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末廣 篤 京都大学, 医学研究科, 助教 (00738247)
楯谷 智子 京都大学, ウイルス研究所, 研究員 (10512311)
山下 勝 京都大学, 医学研究科, 助教 (10635519)
北村 守正 京都大学, 医学研究科, 助教 (60543262)
岸本 曜 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (80700517)
大森 孝一 京都大学, 医学研究科, 教授 (10233272)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | テロサイト / 咽喉頭 / 食道 / 気管 |
Outline of Annual Research Achievements |
テロサイトは近年に偶然発見された特殊な間葉系細胞であり、テロサイト関連研究領域自体が大きな可能性を秘めた発展途上の研究領域である。爬虫類・鳥類・哺乳類の間質に見られることが報告されてきている (Cretoiu 2016)。最初の報告はPopescuらによるもので、ヒトとラットの膵臓に消化管のカハール介在細胞に類似した細胞が発見された(Popescu 2005)。同様の細胞は子宮、心臓、乳腺といった全身の様々な臓器に発見され、長い突起を持つことからテロサイトと名付けられた。テロサイトの定義は「テロポッドを持つ細胞」とされ、上皮直下・血管・神経・分泌腺の傍の間質に見いだされることが多い(図1)。その長い突起を介して局所環境のコントロールに寄与していることが推察されている。耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域では、気管や食道にあるという報告があるが、電子顕微鏡観察のみで機能含め詳細は不明である(Rusu 2012, Chen 2013)。 本研究は、下咽頭・食道・気管におけるテロサイトの特徴とその機能を明らかにすることを目的としている。Wntシグナルの標的遺伝子であり、腸管上皮幹細胞に発現しているLgr5に着目し、Lgr5-EGFP-ires-CreERノックインマウスとRosa-Creレポーターマウスを交配させたトランスジェニックマウスを作成した。その咽喉頭・気管・食道を解析したところ、上皮には標識細胞は見つからなかったが、粘膜固有層には多数の長い突起をもつ標識細胞が見つかった。また、これらのLgr5陽性細胞系譜の細胞における神経マーカーTuj1、樹状細胞マーカーMHI classIIの発現を調べたところ、発現は見られず、間葉系細胞Vimentinの発現は見られるものもあり、その特徴的な形態はテロサイトの定義に合致していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Wntシグナルの標的遺伝子であり、腸管上皮幹細胞に発現しているLgr5に着目し、Lgr5-EGFP-ires-CreERノックインマウスとRosa-Creレポーターマウスを交配させたトランスジェニックマウスを作成し、咽喉頭・気管・食道の粘膜固有層には多数の長い突起をもつ標識細胞が見つかり、テロサイトの定義を有していることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
咽喉頭・気管・食道の傷害モデルを作成し、テロサイトの発現変化を解析する。さらに細胞の機能を評価するために、アブレーションモデルを作成して表現型を解析する。
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Causes of Carryover |
当初は今年度から咽喉頭・気管・食道の傷害モデルを作成の予定であったが、次年度に繰り越すことになったため、2143円の次年度使用額が生じた。次年度は咽喉頭・気管・食道の傷害モデルを作成してテロサイトの発現変化を解析し、さらにLgr5陽性細胞アブレーションモデルを作成してその表現型を解析する予定であるが、次年度使用額は傷害モデル作成時に必要なカテラン針購入に充てる予定である。
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