2017 Fiscal Year Research-status Report
口唇裂の胎児治療を目指した帯状再生組織によるマウス胎仔口唇欠損の修復と融合の検証
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17K19745
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30344451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西條 英人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80372390)
疋田 温彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60443397)
西澤 悟 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00646200)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 口唇口蓋裂 / 胎児治療 / 帯状再生組織 / 幹細胞治療 / 創傷治癒 / スカーレスヒーリング |
Outline of Annual Research Achievements |
口唇口蓋裂は口唇・顎堤・口蓋等に披裂が生じる先天性の顔面形態異常である。術後の瘢痕形成や成長期の2次的変形による醜形によって審美障害をきたすだけでなく、不正咬合を原因とする機能障害を惹起することにより、患者および家族の肉体的・精神的負担が大きい。さらに出生後から成人に至るまで度重なる手術や治療が必要となり、経済的な負担も大きい。したがって、胎生期に披裂を治療することが可能になれば、患者および家族の肉体的・精神的・経済的負担を軽減することが出来ると考えられる。近年、胎児鏡下レーザー凝固術や胎児胸腔羊水腔シャント術が高度先進医療として実施される等、胎児治療および麻酔技術が確立されつつあり、口唇口蓋裂の胎児治療が実現可能であると考えられる。そこで本研究では外科的口唇裂モデルマウスを作製し、幹細胞を足場素材に担持させた帯状再生組織を投与して、小動物における胎児治療法の有効性を検証する。 本年度は①モデルマウスの口唇器官培養の検討、②モデルマウスのin vivoにおける組織修復の評価を行った。①については胎齢16.5および18.5のC57BL/6マウスを回収し、左側上口唇に切開を加え外科的に口唇裂を作製した。マウス頭部を水平断し、組織片を作製し器官培養を行った。組織片を培養24・48・72時間後に回収し、各種染色を行ったところ、良好な修復所見を認めた。そのため②のin vivoにおける検討に移行した。 ②についても同様のマウスに対し、開腹・開子宮下で左側上口唇に切開を加え外科的口唇裂を作製した。閉創24・48・72時間後に胎仔を回収し、経時的に組織学的・免疫組織化学的に評価を行ったところ、HE染色・膠原染色等において16.5群では18.5群より真皮層のコラーゲン繊維の配向の乱れが少なく、良好な組織修復所見を認めた。また上皮分化マーカーを標識した免疫染色において良好な表皮修復所見を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口唇口蓋裂は単一遺伝子疾患ではなく、現時点では多因子しきい説でその発症が説明されている。そのため遺伝的モデル動物を作製することは困難であり、外科的な口唇裂モデルマウス作製を行った。その結果、安定的にモデルを作製する手技を確立することが出来た。来年度は実際に帯状再生組織の投与に計画を進めることから、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
GFPマウスより樹立したES細胞、中胚葉細胞、外胚葉細胞、間葉系幹細胞、角化細胞を調整し、足場素材に担持させ、帯状再生組織を作製する。これを実際に外科的口唇裂モデルマウスに投与し、移植細胞の生着を評価する。
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Causes of Carryover |
当初検討していたよりも、抗体が安価に購入できたため、試薬の代金に関し余剰が生じた。翌年度分の助成金と併せて、偏光顕微鏡の購入資金に充てる。
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Research Products
(4 results)