2018 Fiscal Year Research-status Report
マウスモデルからの転換を目指した上皮-間葉相互作用検出モデルの構築とその応用
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17K19765
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉崎 恵悟 九州大学, 歯学研究院, 助教 (10507982)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 歯 / 上皮ー間葉相互作用 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯は上皮ー間葉相互作用によって形成される器官であり、毛、唾液腺、肺および腎臓などと同様に、上皮細胞が肥厚し、直下にある間葉細胞に陥入することでその発生が始まることが知られている。本研究課題は、上皮ー間葉相互作用に重要な因子を同定するため、歯をモデルとした上皮ー間葉相互作用スクリーニングシステムの構築を目指し研究を開始した。 本年度は、胚発生初期のマウス胎児より取り出した歯、肺、腎臓、唾液腺および毛の遺伝子発現を網羅的に解析し、歯に特異的に発現するいくつかの候補遺伝子の同定に成功した。これら遺伝子の中から、間葉細胞に強く発現する遺伝子に着目し機能解析を行った。その結果、microRNA875 (miR875)が歯の発生初期に特異的に発現しており、間葉細胞の細胞凝集に重要な役割を果たしている可能性を発見した。上皮ー間葉相互作用はその過程において、上皮細胞の陥入に先立って間葉細胞が凝集し、それぞれの細胞が相互に影響し合うことで形態形成が開始されるため、間葉細胞の上皮細胞への細胞遊走が重要である可能性が考えられる。そこで、合成したmimic miR875を歯原性間葉細胞に遺伝子導入すると、細胞遊走能が増加するだけでなく、上皮細胞への凝集が増加した。また、プロモーター解析の結果から、miR875の転写開始領域に、歯の形態形成に重要であると知られているPrrx1およびPrrx2遺伝子が結合する可能性を発見した。そこで、Luciferase assayを用いてPrrx1/2による転写活性を評価すると、miR875の転写が誘導されていることがわかった。これらの結果から歯に特異的に発現するmiR875は、Prrx1/2に誘導されることで、歯原性間葉細胞の凝集を制御している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網羅的解析から歯に特異的に発現する遺伝子を同定し、間葉細胞の凝集機構の解明が進んだため、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
同定した他の遺伝子を歯原性間葉細胞株に遺伝子導入し、歯胚より採取した上皮細胞を間葉細胞と相互作用させることで上皮ー間葉相互作用検出モデルを作成し、さらなるスクリーニングを行う。
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Causes of Carryover |
本年度は上皮ー間葉相互作用検出システムの構築を主に行ってきたが、システム構築が予想より短期間かつ効率よく完了したため、使用額の削減に成功した。今回未使用分は翌年度分と合わせて、本システムを用いたスクリーニングの実施、および遺伝子機能解析に使用する予定である。
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Research Products
(11 results)