2017 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞の抗炎症性マクロファージ誘導機構を応用した難治性顎骨壊死新規治療戦略
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17K19774
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
石崎 明 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20356439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 尚樹 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (20190100)
帖佐 直幸 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (80326694)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | ビスホスホネート / BRONJ / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビスホスホネートbisphosphonate (BP)は、悪性腫瘍の形成に伴う高カルシウム血症、腫瘍の骨転移、ならびに骨粗鬆症において、破骨細胞の骨吸収を抑制することによりそれらの症状を改善する臨床的に有効性の高い薬剤である。しかし、近年、BP系薬剤関連顎骨壊死(bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw (BRONJ)が2003年に最初に報告されて以来、注射剤では0.8~12%、経口剤では0.001%という高い頻度で発生している。今回我々は、M2-MΦをex vivoで簡便且つ大量に増殖させる革新的な細胞培養技術の確立と、それを応用したBRONJ根治療法を可能にする全く新しい細胞治療の確立のための分子基盤の確立を目的とする。 骨髄由来の間葉系幹細胞mesenchymal stem cell (MSC)とlineage marker陽性の血球系細胞(Lin (+)細胞)とを低酸素環境下(5%)で共培養してLin (+)細胞がM2-MΦに分化する際に如何なる細胞間相互作用を示すかについて液性因子ならびに細胞接着因子の双方より調査を実施した。具体的には、MSCとLin(+)細胞を用いて、それぞれの単独培養と共培養を行い、それぞれの細胞からmRNAを得て遺伝子発現の変化を調査し比較検討した。その結果、単独培養→非接着性共培養→接着性共培養の順に細胞内で発現が変化する遺伝子を捉えることに成功した。現在、このような発現変化を示す遺伝子が共培養によるLin (+)細胞のM2-MΦ分化誘導の際に働くキー遺伝子として働くかどうかを検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、当初の研究計画に従いM2-MΦをex vivoで簡便且つ大量に増殖させる革新的な細胞培養技術の確立を目標として、M2-Mφ前駆細胞の増殖・分化を促進する因子(液性因子、接着因子)の候補となるモデル因子(遺伝子)のピックアップとその絞り込みを実施した。研究実績の概要にも記載した通り、単独培養→非接着性共培養→接着性共培養の順に細胞内で発現が変化する遺伝子を捉えることに成功している。これらの遺伝子が共培養によるLin (+)細胞のM2-MΦ分化のためのキー遺伝子として働くことを検証中である。このように、M2-MΦをex vivoで増殖させるための分子基盤を確立するための研究は概ね予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様にM2-Mφ前駆細胞の増殖・分化を促進する液性因子や接着因子の候補となるモデル因子(遺伝子)のピックアップとその絞り込みを継続して実施するとともに、これにより判明した液性因子や接着因子を利用したM2-Mφのex vivo大量培養法を樹立したい。さらには、当初の研究計画の通り、BRONJ根治療法を可能にする全く新しい細胞治療の確立のための分子基盤の確立を目標とし、MSC由来M2-MΦ活性化接着因子とM2-MΦとの併用による革新的なBRONJの根治的細胞治療基盤を動物実験レベルで樹立したい。
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Causes of Carryover |
課題研究の進行状況に合わせ、購入予定の消耗品の一部の内容を変更したために未使用額が生じた。また、このために生じた次年度使用額は、適切に使用する。
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