2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a diagnostic technique for intra-host genetic diversity of norovirus
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17K19784
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斉藤 繭子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20598031)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | ノロウイルス / 感染症 / ウイルス / 国際保健 / 急性胃腸炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,前年度に開始したノロウイルスの組換えウイルスを検出するPCR法の最適化を継続し、ノロウイルスの員電子グループI(GI)について、急性胃腸炎のコホート研究を行っているフィリピンとペルー、および宮城県内の症例研究より採集された便検体のうち、リアルタイムPCR法(プライマー:COG、プローブ:RIN)でノロウイルスGIが陽性であった175検体と、陰性であった検体からランダムに選択した141検体の相補的DNAをプライマーセット4871F/GISKR(801nt)を用いたPCR法で増幅した。このPCR法で陽性であった検体についてはサンガー法にてシークエンスを行い、ポリメラーゼとカプシド領域の遺伝子型をそれぞれ同定した。同様に、一般に遺伝子型の同定に広く用いられているプライマーセットGISKF/GISKR(330nt)を用いてPCR法を行い、比較対照とした。リアルタイムPCR法を基準とした4871F/GISKRによるPCR法の感度は81.1%、特異度は98.6%であった。ウイルス濃度が高い検体に限定すると、感度は96.4%であった。一方、GISKF/GISKRの検体全体での感度は91.3%で4871F/GISKRよりも高く、特異度は100%であった。4871F/GISKR陽性であった検体のシーケンスでは、カプシド領域に基づいた遺伝子型9種類全てを検出できた。さらにカプシド領域とポリメラーゼ領域双方の遺伝子型が124検体(87.3%)で同定され、組み換えの検出に活用できることが確認され、プライマーセット4871F/GISKRは、GISKF/GISKRに比べて感度が低かったが、カプシド領域とポリメラーゼ領域の遺伝子型を一度にタイピングできるという特性を持ち、組み替えウイルスの検出に有用なプライマーセットであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
各種シーケンサーの改良や他の研究者によるシーケンシングの新たな知見を踏まえ、予定していた遺伝子解析方法によるデータの精度とコストについてシーケンサー機器を再検討する必要が生じたが、年度内にこれを十分検討し、従来の計画である一分子リアルタイムシーケンサーによる解析を終了することができなかった。 平成30年度は研究代表者の所属機関内で学部生のカリキュラム改定の移行期であったため、教務業務がに一時的に急増し、研究遂行に影響した。このため、次年度への研究機関の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに開発したノロウイルスの組換えウイルスを検出するプライマーセットを用い、ノロウイルスが陽性で遺伝子型がサンガー法により確認されている検体を用いて一分子リアルタイムシーケンス法の最適化を行う。サンガー法で検出された遺伝型の確認を行い、サンガー法で検出されなかった遺伝子型の混合感染の有無について遺伝子配列情報の解析を行い、次世代シーケンシングによるノロウイルス混合感染の解析方法の検討を行う。さらに、ノロウイルスの混合感染の有無が、宿主側の背景因子の違いにより差があるかどうかについて比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
各種シーケンサーの改良や他の研究者によるシーケンシングの新たな知見を踏まえ、予定していた遺伝子解析方法によるデータの精度とコストについてシーケンサー機器を再検討する必要が生じたが、年度内にこれを十分検討し、従来の計画である一分子リアルタイムシーケンサーによる解析を終了することができなかった。 平成30年度は研究代表者の所属機関内で学部生のカリキュラム改定の移行期であったため、教務業務がに一時的に急増し、研究遂行に影響した。このため、次年度への研究機関の延長を申請した。 次年度の予算は、遺伝子配列の解析を行うための試薬、消耗品、それに係る人件費、成果発表に必要な費用を支出する予定である。
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Research Products
(4 results)