2018 Fiscal Year Research-status Report
頭部外傷後精神疾患:包括的な支援体制の構築と発症要因特定のための研究基盤の形成
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17K19786
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐久間 篤 東北大学, 大学病院, 助教 (90733759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石垣 司 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (20469597)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 頭部外傷 / 器質性精神障害 / 心的外傷後ストレス障害 / 大うつ病性障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、東北大学病院で加療された頭部外傷後の患者に対する面接調査と郵送調査を継続した。面接での調査は50名に対して施行することができた。しかしながら、郵送による調査は回答率の低さ、欠損値の多さから少数に留まっている。仙台市立病院、仙台医療センターなどの関連施設でも調査を行う予定だったが、担当者の異動などによるマンパワー不足で十分な調査体制を構築できず、現時点では東北大学病院のみでの調査を継続している。研究の質として、面接調査によるデータのほうが郵送による自記入式調査と比較して信頼性が高いため、今後も研究の質を重視し、面接調査を中心にデータを集積していく方向で継続する予定である。 既存の事例による症例検討、予備的解析を進めており、学会にて報告した。2019年10月12日、第77回日本脳神経外科学会学術総会、シンポジウム33「TBI 救命のその後分野のエキスパートの視点から」において「頭部外傷と精神症状:東北大学病院精神科リエゾンチームからの視点」と題して発表し、頭部外傷の社会的行動障害の事例に関し症例発表を行い、現状の医療体制と今後の課題について考察した。2019年3月9日、第42回日本脳神経外傷学会において、「頭部外傷後の患者への精神科介入判断に関する考察―質と量的データの関連から」と題して発表し、精神症状に対する重点的介入を決定する精神科的な臨床的判断は何に基づいているのかという点に関し、事例による質的データと精神心理指標による予備的な量的データを用いて検討した。その結果、量的データの解析では、受傷後に人とのつながりが希薄であるほど、心的外傷後ストレス反応が高まる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
郵送調査による症例は集積が不十分だが、当初予定していなかった面接調査による症例集積が進展している。さらに、脳画像や脳波を用いた生物学的基盤を明らかにする解析も研究期間中に開始できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
面接調査と郵送による自記入式調査を並行して行っているが、郵送による調査は回答率の低さ、欠損値の多さなどから少数に留まっている。郵送調査はデータの質の点で検討すべき課題が多いことが明らかとなってきた。一般的に面接調査で取得されたデータのほうが信頼性が高く、欠損も少ないため、今後は面接調査を中心に質の高いデータを集積していく方向で継続する予定である。また、頭部外傷後の精神症状に関するバイオマーカーの検討を行うため、脳画像や脳波といった生理的指標と、精神心理指標との関連解析も行う予定である。
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Causes of Carryover |
郵送調査が予定数より大幅に少なかったため、そのための、印刷費や郵送費等が予定より少なく、残額が生じたと考えている。次年度は生物学的基盤の解明を行うための必要物品を購入したり、集積したデータの予備的解析による学会発表、そして論文作成や投稿費用として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)