2021 Fiscal Year Research-status Report
頭部外傷後精神疾患:包括的な支援体制の構築と発症要因特定のための研究基盤の形成
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17K19786
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐久間 篤 東北大学, 大学病院, 助教 (90733759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石垣 司 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (20469597)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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Keywords | 頭部外傷 / 器質性精神障害 / 心的外傷後ストレス障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も新型コロナウイルスの繰り返す流行により、東北大学病院の高度救命救急センターにおける面接調査には多大な支障が生じた。しかしそのなかで、流行が落ち着いている時期を見計らい症例を集積し、予備的解析が可能と考えられる50名に達した。データ整理と集計を行い、50例のうち解析に必要な回答を満たしている47名を用いて予備的解析を実施した。結果の概要であるが、対象者の33名(70%)が男性で、平均年齢は46歳であった。PTSDのハイリスクは4名(9%)で、うつ病のハイリスクは7名(15%)、であった。本結果より、欧米からの報告と比較すると低値であるが、本邦においても、一定数の頭部外傷受傷者が精神症状を抱えていること、一般住民と比較すると高値である可能性が示唆された。少数例のため、要因の解析は予備的であるが、女性や精神疾患の治療歴といった、欧米からの報告で多く認められるハイリスク要因は、今回の検討では見出されず、本邦独自の要因が存在する可能性が示唆された。今後さらに症例を集積し、本邦の頭部外傷受傷者に特有の要因を明らかにし、早期介入につなげていく必要があると考えられた。本結果を、2022年2月10日に開催された、第19回宮城県頭部外傷研究会において、「頭部外傷後の精神症状 東北大学病院TBIクリニック受診者における予備的解析」と題して発表した。また、2022年2月25日に開催された第45回日本脳神経外傷学会において、「多職種連携:外傷性脳損傷後のフォローアップにおける精神症状のスクリーニングの検討」と題して発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの流行により、本研究の中心メンバーである医療スタッフのエフォートが大きく変更されてしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き100例の症例集積を目指して研究を継続する予定である。また、次年度は最終年度となるため、本年度までの予備的結果をまとめ、論文化を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行の繰り返しにより、予定通りに研究対象者集積することができなかったため残額が生じたと考えている。次年度は引き続き症例を集積するとともに、最終年度となることから、研究成果の学術大会における発表と論文化を行う。
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