2022 Fiscal Year Annual Research Report
Psychiatric disorders following traumatic brain injury: Establishment of comprehensive support system
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17K19786
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐久間 篤 東北大学, 大学病院, 助教 (90733759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石垣 司 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (20469597)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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Keywords | 頭部外傷 / 器質性精神障害 / 心的外傷後ストレス障害 / うつ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は最終年度であったが、いまだ予定症例数には達していなかったため、東北大学病院の高度救命救急センターにおける面接調査を継続した。これにより、最終的には研究期間を通じて78名のデータを取得することができた。 昨年度まで集積していたデータを元に改めて解析を行い、論文化を進めた。概要は昨年度学会発表した内容と大きな相違はなく、対象者70%が男性で、平均年齢は46歳、PTSDのハイリスクは9%であり、うつ病のハイリスクは15%であった。ハイリスクに有意に関連する要因は検出されなかった。本研究結果より、欧米からの報告と比較するとやや低値ではあるが、本邦においても、頭部外傷受傷者の一定数が精神症状を抱えていて、一般住民と比較すると高値である可能性が示唆された。結果を元に改めて検討したところ、本邦の頭部外傷受傷後の精神症状に関しては、従来欧米から報告されてきたハイリスク要因と異なる要因が存在する可能性が示唆された。本研究の限界としては、横断的手法であること、一施設の限られたデータを元に行った解析であること、全ての症例に対して定期的な追跡が行えていたわけではないこと、など研究手法の限界による解釈の制限が大きかった。 一方で、質的な解釈となるが、外来受診時を利用し調査票を記入することの利点もあったと考えられた。調査票記入時に自覚症状に気づいたり、調査の数か月後に症状を訴えてくる患者もいた。調査自体が心理教育的な作用となり、自覚しにくい精神症状を認識するきっかけになっていたと考えられた。さらに、調査票は待ち時間に記入が可能であり、診察前に記入いただき患者自身が症状への気づきを得て、スタッフが効率的に情報を引き出す手段にもなっていた。 今後は、本研究で得られたデータをもとに論文化を行うとともに、臨床現場で持続可能なスクリーニング手法を検討していく必要があると考えられた。
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