2017 Fiscal Year Research-status Report
認知症予防のためのライフコース要因と社会・物理的環境の解明
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17K19794
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤原 武男 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80510213)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 認知症 / GPS / 社会的環境 / 物理的環境 / ライフコース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢化のすすむ新潟県十日町および宮城県涌谷町において、高齢者1万8千人の各個人の行動を質問紙で調査し、さらに代表サンプルをGPSで追跡しそのデータを地図上に重ね合わせることで、各個人のつながりをネットワーク分析によって解析し、認知症を予防しうるライフコースでみた物理的・社会的環境を明らかにすることを目的に行った。具体的には、特定健診または高齢者健診を活用し、対面式の認知症のスクリーニングテスト(MMSEおよびQMCI)をトレーニングされた面接者によって特定健診および高齢者健診時に実施した。また、ウエラブルセンサリングデバイスを用いて1週間の活動量、睡眠時間等を測定し、客観的なデータを得た。さらに、GPSを用いて位置情報を連続的に測定・記録することで、参加者が地域のどのような場所にどのような時間帯でどの程度過ごしているのかを把握した。そしてアンケート調査においても外出頻度を把握し、GPSデータとの比較を行なった。その結果、ある事例では自宅から駅まで幅広い範囲で活動しているパターンがある一方で、別の事例では自宅と思われる一定の場所に止まっているパターンがあることがはっきりと示された。これらを重ね合わせると、幹線道路沿いに居住している場合は行動範囲が広く、山間部に居住している場合には行動範囲が狭いことが示唆された。このように、物理的環境、そして予測される社会的環境が高齢者の行動パターンを規定していることが予想され、それによって認知機能に影響を与えていることが示唆された。今後はさらにデータを解析し、認知機能との関連を量的に示して行くことで認知症の予防可能な環境を明らかにして行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十日町、および涌谷町での調査は順調に実施することができたが、データ解析のためのクリーニング、とくにGPSデータの整理に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はデータクリーニングを進め、解析し、論文化および学会等で発表していく。
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Causes of Carryover |
十日町、および涌谷町での調査で収集したデータ解析のためのクリーニング、とくにGPSデータの整理に時間がかかり、当初予定していた解析に関わる費用等が発生しなかったため。 平成30年度には継続調査と共に解析を進めて、得られたデータを個人レベルでリンゲージし、ビックデータ化することと、どのような物理的・社会的環境が認知機能に影響しているのかを明らかにする。 また、学会等に参加し、情報収集及び成果を発表する予定。
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Research Products
(2 results)