2018 Fiscal Year Research-status Report
認知症予防のためのライフコース要因と社会・物理的環境の解明
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17K19794
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤原 武男 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80510213)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 認知症 / GPS / 社会的環境 / 物理的環境 / ライフコース |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年9月から10月にかけて、新潟県十日町市の都市部及び農村部より層別無作為抽出法によって抽出しJAGES質問紙調査の協力が得られた65歳から84歳の非要介護高齢者527名を対象に、1週間に渡りGPS及び活動量計の装着を依頼した。ここでは、3日以上のGPSデータ及び4日以上の活動量計データが得られ、且つ調査期間中に非日常的な行動(例 旅行)を行わなかった388名のデータの解析を行った。初日と最終日のデータを除くGPSデータから算出した日常行動範囲を基に、参加者を十分位に分けた。平均行動範囲(Mean+SD)は、下位群(第1十分位数:56名)が0±0 km2、中位群(第2~9十分位数:310名)が12.3±21.6km2、上位群(第10十分位数:32名)が384.2±233.1km2であった。まず、行動範囲下位群と上位群のの身体活動を、1日あたりの歩行時間、座位行動時間、そして身体活動ガイドライン基準の充足割合という観点から比較したところ、平均歩行時間は、下位群は45.1±24.5分、上位群は67.8±38.5分であり、上位群の方が平均歩行時間が統計的にも有意に高く、GPS装着の妥当性を確認できた。さらに、日本語版MMSEのガイドラインに従って認知障害(26点以下)の割合を比較したところ、下位群が35.3%、上位群は16.1%であり、下位群の方が統計的にも有意に多かった。また、ソーシャル・キャピタルが高い群と低い群における日常行動範囲の比較を行ったが、一般的信頼、互酬性の規範、地域愛着、どの側面においても、ソーシャル・キャピタルが高い群と低い群の日常行動範囲には、有意な差は見られなかった。今後はGPSで検出される具体的なホットスポットと高齢者のソーシャルキャピタル、および健康アウトカムとの関連を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
十日町、および涌谷町での調査は順調に実施することができたが、データ解析のためのクリーニング、とくにGPSデータの整理に時間がかかっている。また、ジオコードの入手および十日町における現場の方々の実体験に基づく解釈をすべくインタビューを実施していたため、論文執筆がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらにデータクリーニングを進め、具体的なホットスポットと高齢者のソーシャルキャピタル、および健康アウトカムとの関連を解析し、論文化および学会等で発表していく予定である。追跡調査の可能性も視野に入れて現場との交渉も進める。
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Research Products
(1 results)