2017 Fiscal Year Research-status Report
在宅認知症者に対する介護支援専門員の基礎資格によるケアプランの特徴と新担当構想
Project/Area Number |
17K19802
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
塚崎 恵子 金沢大学, 保健学系, 教授 (20240236)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
京田 薫 金沢大学, 保健学系, 助教 (00639776)
板谷 智也 金沢大学, 保健学系, 助教 (10765192)
石井 久仁子 兵庫大学, 看護学部, 講師 (70735886)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
Keywords | 認知症 / 在宅支援 / 介護支援専門員 / ケアプラン / 認知症介護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
在宅認知症者の支援を強化していくには、ケアマネジメントを担当している介護支援専門員の知識とスキルが重要である。介護支援専門員の資格要件である基礎資格は、看護職、社会福祉士など様々であり、基礎資格に基づいた経験、知識、スキルが様々である。基礎資格別のケアプランの特徴と学習課題を明らかにした上で、ケアプラン担当の新しい戦略が必要であると考える。そこで本研究は、①介護支援専門員の基礎資格による在宅認知症者のケアプランの特徴を明らかにする。②在宅認知症者ケアプラン担当者として修得が必須な学習課題を基礎資格ごとに明らかにする。③適切なケアプランを作成し実施できるための基礎資格別の新担当戦略を構想することを目的とする。研究は2段階で行う。1段階は、47都道府県の居宅介護支援事業所の介護支援専門員4,000名を対象に、認知症のステージ別にケアプランの実態と知識とスキルに関する半構成的質問紙調査を行う。基礎資格別に比較分析してケアプランの特徴と学習課題を分析する。2段階は、1段階の結果をもとにしたフオーカスグループ討議により、認知症のステージに応じた基礎資格別のケアプラン作成担当のあり方と必要なサポートシステムについて探索し、新戦略を構想する。 今年度は、国内外の在宅認知症者の生活の課題とケアに関する研究、全国の介護支援専門員の研修状況、国内外の専門職のスキル評価尺度に関する文献レビューを行い、研究分担者3名とともに1段階の調査項目を検討した。調査項目は属性、ケアプラン担当状況、認知症の知識とスキル、担当の認知症者の状況などである。現在、調査用紙がほぼ仕上がり、研究倫理審査委員会への審査申請準備を進めている。また、全国の居宅介護支援事業所から地域層化無作為抽出により4,000か所を抽出し、研究倫理審査委員会の承認を得た後、郵送法による調査協力を依頼するための対象者の選出準備を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、今年度は1段階の全国調査の調査用紙の発送を実施する計画であった。本研究成果は世界に向けて発信し、国内外に貢献できることを目指している。本研究の調査対象である介護支援専門員の制度は、日本の介護保険制度の一つである。したがって、本研究成果を国内だけでなく、国外でも一般化するには、国内外の医療保健福祉の様々な専門職に有効な調査内容が必要であると考え、文献検索および文献レビューを広く慎重に行った。また、既に国内外で一般的に活用されている既存の尺度も併用することで、本研究結果の一部と国内外の様々な対象者の研究結果との比較が可能となる。そのため、本研究目的に適した、そのような既存の尺度の活用について様々な視点で検討を重ねてきた。今後早急に、尺度開発者の使用許可が得られるように準備を進めている。 以上の経緯より、今年度の研究の進捗状況は当初の計画よりやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
年度初めは、1段階の質問紙調査への協力を依頼する事業所内では、介護支援専門員の異動やケアプラン担当者の変更などが予想される。回収率を上げて精度の高い調査結果を得るため、調査期間は事業所内の通常の業務が落ち着くと思われる、30年6月頃を計画している。調査用紙の回収後は、調査結果の分析を行い、国内全域と地域別の実態、および基礎資格別の特徴を明らかにする。 以上の1段階の分析結果の報告書を作成して配布するとともに、2段階のフオーカスグループの参加者を石川県A市と兵庫県B市の居宅介護支援事業所に募集する。フオーカスグループメンバーで基礎資格別のケアプラン作成担当のあり方とサポートシステムについて、1段階の結果を基に討議して探索する。討議結果から基礎資格別のケアプランの担当構想を作成する。 これらの研究成果は、ホームページと国内外の学会と学術雑誌に発表して普及を目指す。
|
Causes of Carryover |
(理由)今年度に計画していた1段階の全国の4,000か所の居宅介護支援事業所の介護支援専門員を対象とした郵送法による質問紙調査は、研究倫理審査会の承認を得た後、次年度に実施する。したがって、質問紙調査の調査用紙と封筒の購入と印刷、4,000か所への調査用紙の発送、調査協力を得た対象者からの回答用紙の返送、調査結果のデータの入力作業、1段階の調査結果の報告書の印刷、報告書を希望する対象者と関連施設への発送に要する費用は、次年度に使用する。 (使用計画)1段階の全国調査の実施と解析、1段階の調査結果報告書の作成と配布、2段階のフオーカスグループの参加者の募集、フオーカスグループ討議への参加者の旅費と謝金、これらの研究を進めていくための事務作業の補助者の人件費、専門図書、文房具、および研究成果を専門学会と学術雑誌に公表するための費用として使用する。
|