2018 Fiscal Year Research-status Report
地理情報システムを利用した医療格差是正のためのNDBレセプト情報解析
Project/Area Number |
17K19825
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
高塚 伸太朗 札幌医科大学, 医療人育成センター, 講師 (30457733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 浩文 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20359996)
大浦 麻絵 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40404595)
山口 徳蔵 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80423771)
辰巳 治之 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90171719)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | レセプト情報 / NDB / GIS / 医療経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
21 世紀半ばに向けて、地方の人口減少は急速に進み、日本の高齢化の進展は世界に類のない速さであると予測されている。本研究は、蓄積された医療レセプトデータの解析を基に、限られた医療資源の効率的な配分によって医療サービスを受ける機会に格差のない地域社会を目指し、持続的な医療サービスの基盤確立に関する研究を目的とする。 平成30年度では3.4億件のレセプト情報を分析し、まずその精度について詳細な分析を行った。特にNDBとは別経路で取得した北海道6市3町のレセプト情報より、NDBの問題の一つであるID1を用いた名寄せの精度について定量的な評価を行うことが出来た。特に歯科では2011年から2015年の電子化の影響が大きく、全体を通しても年々名寄せの精度が向上していることが確認できた。つまり、少なくともこの期間においてNDBレセプト統計上医療費の向上は元データの増加によるものも含まれていることが分かった。 転帰情報の死亡の精度についても人口動態調査と比較することで精度の評価と考察を行った。レセプトから取得できる死者数は北海道における死者数全体の6割程度、医療機関での死者数の8割程度であった。また死亡時の疾病と人口動態での原死因との相関は認められたものの、レセプトに表記されやすい疾病に差があった。 また市町村外で受診した情報を用いて、道路と医療費との比較を行い市町村外受診における道路の月毎に通過する医療費地図を作製した。北海道全体では冬期間にもっとも市町村外受診が小さくなると予想されたが、道路によっては必ずしもそのような結果でないことが示された。 これらのことに予想外の時間を費やしたほか、北海道胆振東部地震の影響もあり、計画通りの研究遂行とはいかなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度の時点で明らかとなったレセプト情報のデータの欠損を補うために時間を要したことに加え、レセプト情報の分析の結果、同一人物とみなせる場合でも複数回の死亡が記録されているなどの現実との乖離が明らかとなり、その解釈と精査のための時間を要することになった。 また、レセプト情報を使った現状の分析のためにはレセプト情報自身の正確性や精度が重要であるが、その精度に関する情報や文献が十分でなかったことからその分析のために時間を要することになった。 さらに北海道胆振東部地震の影響による大規模な停電によって実行中の解析が中断され、サーバー環境の復帰にも予定外の時間を費やした他、道内企業に依頼を予定していた技術サポートの提供にも大きな遅れが出たため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度にはこれまでの成果を発表するとともに、平成30年度までで作成してきたNDB による医療情報地図とGIS 用の各種データを組み合わせることによって、様々な医療動向またはその変化の読み解きを行う。例えばGIS を活用し地域ごとの疾病集積性の検定を行い、都市部、山間部、沿岸部などで疾病の受診傾向を明らかにするための解析を行う。また患者数と医療費、各種疾病に関する情報と、病床数や医師数、専門医数との比較を行い、時間距離を念頭に置いた最適な医療資源の配置に関係する解析を行う。
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Causes of Carryover |
北海道胆振東部地震の影響による大規模な停電によって解析が中断され環境の復帰にも予定外の時間を費やした他、研究遂行の遅れにより予算執行が計画通りにいかなかったことと、予定していた技術サポートの提供に大規模停電の影響が出て、大きな遅れが生じたことにより次年度使用額が生じた。
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