2017 Fiscal Year Research-status Report
プロジェクトリターン2017:原発事故後に避難した精神科入院患者の帰還支援の試み
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17K19826
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
後藤 大介 福島県立医科大学, 医学部, 併任准教授 (30381370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國井 泰人 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00511651)
矢部 博興 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60210316)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 避難転院 / 相双地域 / 東日本大震災 / 原子力発電所事故 / 帰還 / 地域移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
県外精神科避難転院者の帰還に向け福島県として取り組んできた地域移行マッチング事業の進捗状況について、福島県庁および福島県立矢吹病院の担当者から十分な説明を受け、研究デザインを検討した。これらを踏まえ、福島第一原発事故による精神科入院患者避難転院患者の避難の実態を調査すること、及び、福島県外の避難転院先病院から県内への帰還や地域への退院の成否に係わる要因を調べ、避難転院患者の医療と処遇の改善に寄与することを目的に、本研究は、研究Ⅰ(精神科避難転院患者転帰調査)と研究Ⅱ(県外避難転院患者の福島県への帰還および地域への退院における比較調査)に分けて実施していく予定である。 研究Ⅰは、福島県(保健福祉部)との共同研究とし、福島県が有する東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故による広域避難に係わる精神科避難転院者情報をもとに精神科避難転院の実態について調査・分析を行う。研究Ⅱは、県外避難転院患者の受け入れについて最多となった東京都において、公立病院として東京都立松沢病院、私立病院として多摩中央病院を代表2病院とし調査研究を行い、結果を集計、分析し、福島県への帰還および地域への退院に寄与した要因と阻害した要因を明らかにしようとするものである。 研究Ⅰの意義は、原子力災害により広域避難を余儀なくされた多くの精神科入院患者の転帰をまとめ、記録しておくことは、わが国における社会精神医学および災害精神医学上の貴重な資料となる。また、研究Ⅱの意義は、今後とも起こりうる精神科入院患者の広域避難とその後の転退院における課題と必要な対策の明確化と考えている。 以上について、研究計画書としてまとめ、福島県立医科大学における倫理委員会および東日本大震災の被災者を対象とする調査・研究の実施に関する審査へ提出済である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遅延の理由は、研究デザインの組み立てと質問紙票の作成に時間を要したことによる。また、研究計画書は、平成30年3月に福島県立医科大学倫理委員会へ提出済であるが、東日本大震災に関連した研究テーマであるため、一般の倫理審査のほかに、東日本大震災の被災者を対象とする調査・研究の実施に関する審査手続きを経る必要がある。このため、通常よりも承認までに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
倫理委員会の承認および東日本大震災の被災者を対象とする調査・研究の実施に関する審査手続きを経た後、研究Ⅰについて福島県(保健福祉部)と共同研究契約を締結し、データの解析を開始する。研究Ⅱについては、東京都立松沢病院および多摩中央病院倫理委員会へ研究計画を提出し承認を得た上で、施設担当者と当事者向けに質問紙票による調査を開始する予定。
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Causes of Carryover |
研究デザインの検討および研究計画を策定するのに時間を要したため、必要物品の選定、調査出張が行われず支出が少なかったため、次年度使用額が生じた。 使用計画については、本研究の倫理委員会等での承認を待って、必要物品の購入や調査出張などを進めて行く。
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