2019 Fiscal Year Research-status Report
地域で暮らす障害者に対する慢性疾患管理と地域連携モデルの構築
Project/Area Number |
17K19836
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
高山 望 北海道科学大学, 保健医療学部, 准教授 (50451399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹木 弘美 北海道科学大学, 保健医療学部, 准教授 (20275499)
松原 三智子 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (20304115)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 疾病管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.目的:本研究の目的は,障がい者福祉施設の利用者に対して,慢性疾患のリスク層別化を行ない,慢性疾患管理プログラムを開発し,有効性を検証することとする. 2.これまでの研究成果:昨年度の結果から,介入プログラムの再検討を行った.具体的には,介入時期は,隔週月曜午後1回として,6ヶ月間で合計12回介入する.まず看護師が,被験者に血圧値,血糖値,動脈硬化の測定値等健康診査を実施し,高血圧症,糖尿病,動脈硬化症のリスク層別化を行う.その後,高リスク群に対して,パートナーシップを確立し,個別支援計画を立案し,目標設定,行動変容ステージを活用して教育・相談を行なう.また,プログラムの有効性を検証するため,臨床指標(血圧,血糖値,血管年齢,体重,BMI,腹囲等)を測定する.経済評価として,通院・入院回数,薬剤の使用量,通所施設の利用回数等を数える.人的指標として,QOL尺度得点とする.プロセス指標としては,変化ステージの段階,食事,運動,服薬,喫煙,飲酒に関する目標達成率を評価指標とする.また,安全性としてリスクの内容と頻度,普及性としてプログラムの実施回数と参加率を記録し,中間と介入終了後に評価することとした. 3.考察:予想される効果は,①生理学的指標を含めた健康状態の基礎的統計データ,②慢性疾患(高血圧症,糖尿病,動脈硬化症)におけるリスク層別の結果,③高リスク群における慢性疾患の動機づけ,行動変容,目標達成率,④被験者の慢性疾患管理を支えるソーシャルサポート状況のデータが得られる.以上の結果から,慢性疾患管理プログラムの有効性が得られると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1.目的: 2020年度は,まず1施設の障がい者福祉施設を対象として,慢性疾患のリスク層別化を行ない,高リスク群の被験者に対して,慢性疾患管理プログラムを開発し,有効性を検証することとする. その後,中リスク群,低リスク群に対する慢性疾患管理プログラムを開発し,有効性を検証することとする.また,複数の障がい者福祉施設への介入を行い,症例数を増やし,プログラムの有効性を証明することが課題である. 2.理由:2019年3月~6月喘息発作を繰り返し長期ステロイド投与したところ,肝機能障害,耐糖能低下による糖尿病病変等の副作用が出現し,長期療養を行った.そのため,この1年間で研究遂行は大幅に遅れてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
1.研究の全体計画:大学附属病院長会議UMINへの臨床試験登録を行う.また,移管先の北海道大学大学院保健科学研究院の倫理審査委員会に申請し承認を得る.対象施設については,研究協力施設をきょうされん北海道支部に所属している共同作業所に広く呼かけ,協力施設を募集する.また,COVID-19に対する予防対策をとり,感染経路の遮断や換気,環境消毒を行う.収束の判断する時期は,特措法の規定に基づき緊急事態宣言がなく,緊急事態措置地区に指定されていない.かつ当該地区に自宅待機や行動規制がないことを条件とする.研究分担者は,公衆衛生看護学,精神看護学に従事し研究を実施しているスペシャリストであり,本研究の学術的,実践的サポートを引き続き得る.また,移管先の北海道大学大学院保健科学研究院の公衆衛生看護学のスペシャリストにも協力を得る.さらに,研究補助員として慢性疾患看護の経験のある看護職または保健師職1~2名を雇用し,健康診査では1回で30名程度の測定に十分対応できる研究体制を整える.
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Causes of Carryover |
今年度使用額が生じた理由と使用計画:調査を実施できなかったため,被験者の交通費5万円,人件費50万円程度,会議費15万円,研究成果発表費30万円,海外旅費40万円程度の減額となった.以上のことから,決算額42万円となり,次年度の繰越金額140万円となった.2020年度にCOVID-19終息後に調査を実施するため,保健師職1~2名を雇用し,データ収集に十分対応できるチーム編成をする.被験者交通費5万円,人件費50万円,会議費15万円,研究成果発表費30万円を支出する計画である.世界的にCOVID-19が終息しなければ海外に学会発表することは困難と考えられるため,情勢をみて判断する.
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