2018 Fiscal Year Research-status Report
看護現場データに内在する医療安全のための暗黙知抽出への挑戦
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17K19845
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
秋吉 政徳 神奈川大学, 工学部, 教授 (20403040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真嶋 由貴恵 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (70285360)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 頻出パターンマイニング / サポートベクターマシン / 視線計測 / 薬剤注入圧力計測 / 作業画像 / 脳波 / 脳血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療安全のためにリスクマネージャが対策を講じる際の重要な鍵となるものとして、看護チームの体制や作業ルールといった種々のデータに内在する現場暗黙知 を、機械学習技術や IoT(Internet of Things)を駆使して抽出するフレームワークの確立を目的として、以下の内容を実施した。 2018年度に実施した「看護師シフトスケジュールデータ」と「インシデント発生日時データ」を紐付けた上での頻出パターンマイニングやサポートベクターマシンといった機械学習技術の適用実験の結果に関して詳細に分析を行い、「看護師シフトスケジュールデータ」に内在する「類似性」と「頻出性」の特徴による看護師シフトスケジュールパターンが、「ラダーレベル」と呼ばれる看護師のスキルレベルの分布を考慮すると、ある意味至極当然のパターンしか抽出されていないことが判明した。そこで、インシデント報告はそもそも対象看護患者の容態にも起因していることから、対象看護患者の容態データを示すものとして、インシデント報告に記載されている状況報告を自然言語処理によってて特徴記述を抽出し、看護師シフトスケジュールデータとの関係性を探った。また、「ラダーレベル」の分布をどのように反映させるかについての基礎検討を行った。 現場の「看護作業センシングデータ」の収集として、2018年度に構築した「静脈注射作業」を対象にした模擬看護作業環境で、研究協力者の機関に所属する看護師や看護学校生を対象に、視線計測、注射対象点の探索のための腕皮膚の引っ張り圧の計測、脳波計測、脳血流計測、作業全体・注射作業手元をカメラでの撮影を行った。 それぞれのデータを個別に分析する中で、今回の現場作業データ収集としての時間同期の必要性が明らかになり、2019年度の同様のデータ収集においては自動的に時間同期が図られるように、模擬看護作業環境を改良するための検討点を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載した取り組み課題である、「機械学習技術の適用実験と結果考察」ならびに「模擬看護作業環境の構築」に関して、実データをともに扱える実 験を行い、データの分析や収集の改良点を明らかにし、平成31年度の取り組み課題への準備を終えている。 以上、研究進捗として、おおむね順調に進展していると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請時の「研究実施計画」に従い、看護師シフトスケジュールデータの「類似性」や「頻出性」に関する相関分析やクラスタ分析を行い、それらによる「イ ンシデント発生に関わる組織特性の定義と抽出」、看護作業センシング結果のフラグメント化データ、規定作業手順、インシデント発生の具体的状況記述データ に関して作業記述を示す重要語や概念階層辞書、記述パターンなどを用いた差異分析を行い、「インシデント発生に関わる個人作業特性の定義と抽出」へと展開 する。また、研究協力者による評価フィードバックを積極的に取り入れて、本研究内容をより良いものへとブラッシュアップを図る。
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Causes of Carryover |
執行研究費につき差額が生じているが、研究実施には支障はない。なお、本差額は次年度の調達品に使用予定である。打ち合わせ旅費等が想定通りには発生していないが、効率的な予算執行に務めているためであり、特に問題はない。
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