2017 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the new control mechanism of aging through PAI-1
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17K19881
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
段 孝 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (00512451)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 老化 / 転写制御 / SASP(細胞老化関連分泌形質) / PAI-1 / TGF-β1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、SASP(細胞老化関連分泌形質)の確実な因子と考えられるPAI-1によるTGF-β1の転写制御機構を明らかにすることを目標とする。 まずTGF-β1の転写調節傾城のレポーターアッセイ系を構築し、PAI-1およびTGF-β1発現細胞(例えば、HepG2)に導入することを計画した。ヒトゲノムサンプルからPCR法で得たTGF-β1転写調節傾城(accession No. AY871232.1)をpGLS3ベクターのマルチクローニングサイトに一旦導入したのち、さらにpGL4.18ベクターに移入した。作製したプラスミドの塩基配列とゲノムデータベースを比較したところ、273番目塩基の後にGAGの3塩基の追加があった以外、転写調節傾城の49番目から1840番まで1塩基の違いを除いて完全に一致し、ヒトTGF-β1転写調節傾城を含むレポータープラスミドができていることを確認した。次に、lipofectamine2000を用いてHepG2細胞に導入し、G418存在下で安定発現株細胞を得た。得られた細胞株をLPSで刺激して、TGF-β1分泌をELISAで確認しようとしたところ、想定外の事態が生じた。すなわち市販のTGF-β1のELISAキットの全てで、培地による高いバックグランド値を示し、培地中の血清由来の種差に依存しないTGF-β1の影響の方が大きいこと(ヒトTGF-β1に特異的なELISAが存在しない)が明らかになった。また、その追求と対応検討に予定外の時間を費やした。 そこで、HepG2細胞を断念し、無血清培地でも培養が可能なTHP-1細胞を用いることに計画を変更して、TGF-β1転写調節傾城のレポーターを含むTHP-1の安定発現株細胞を得たところである。LPSによるTGF-β1分泌亢進が確認され次第、計画を加速してキャッチアップする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TGF-β1の転写調節傾城のレポータープラスミドの作製までは問題なく進行したが、当初計画の宿主細胞HepG2細胞において、TGF-β1分泌をELISAキットの市販の全てで確認するのに想定外の時間を費やし、かつTGF-β1分泌を確認できないことが判明した。その原因として、培地に添加している血清由来のTGF-β1の影響であることが明らかになったことから、無血清培地でも培養が可能なTHP-1細胞を用いることに計画を変更した。TGF-β1転写調節傾城のレポーターを含むTHP-1の安定発現株細胞が得られたことから、計画を加速してキャッチアップする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.PAI-1反応性TGF-β1プロモーター領域の解析:TGF-β1の転写調節領域のレポーターアッセイ系を構築し、PAI-1刺激で反応する転写調節領域を特定する。なお、細胞外からのPAI-1シグナルは、細胞培養液へのPAI-1添加により、細胞内PAI-1シグナルはsiRNA用いて、内在性PAI-1発現亢進(例えば、低酸素やH2O2刺激等)の有無から特定する。 2.PAI-1特異性の解析:上記のPAI-1反応性の性質を調べる目的で、PAI-1変異体を用いた解析を行う。すなわち、uPAとの結合性がないPAI-1、LRPとの結合性がないPAI-1、ビロトネクチンとの結合性がないPAI-1を使い分けることで、uPA受容体、LRP、ビトロネクチン受容体を介したものかどうかを確認する。 3.PAI-1反応性遺伝子の確認:マウスあるいはヒト細胞系を用いて、細胞内外からのPAI-1刺激を入れた際の網羅的遺伝子発現解析を行い、アップレギュレーションされる老化関連遺伝子等の確認を行う。また、PAI-1シグナルによる転写調節カスケードを、各種阻害薬を用いて確認する(例えば、NFkB阻害)。 4.In vivoでの検証:早老症モデルであるklothoマウス(kl/kl)やSIRT6ノックアウトマウスなどのモデル動物を用いて、PAI-1による核内転写制御機構・シグナル伝達系をin vivoで確認する。
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Causes of Carryover |
理由: 平成29年度実施予定であった「2.PAI-1特異性の解析」を平成30年度に実施するため次年度使用額が生じた。 計画: PAI-1特異性を調べる目的で、PAI-1変異体を用いた解析を行う。すなわち、uPAとの結合性がないPAI-1、LRPとの結合性がないPAI-1、ビロトネクチンとの結合性がないPAI-1を使い分けることで、uPA受容体、LRP、ビトロネクチン受容体を介したものかどうかを確認する費用として使用する予定である。
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