2017 Fiscal Year Research-status Report
Cross-sectional Survey of Early Vascular Aging in University Students
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17K19886
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
橋本 潤一郎 宮城教育大学, 保健管理センター, 教授 (50333795)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 老化 / 血流 / 血圧 / 脈波 / 血行動態 / 臓器障害 / 大学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、青年期の学生を対象に様々な動脈硬化指標の測定を行い、早期血管老化の実態を横断的に調べるためのデータベースの構築を行った。具体的には、学内の研究施設において、大学生および大学院生を対象とし、アプラネーション・トノメトリ等を用いて身体の表在動脈上で非侵襲的に血圧波形を記録し、血圧の測定とともに血圧波形分析ならびに脈波伝播速度(PWV)の計測を実施した。また、超音波ドップラ装置を用いて、大動脈や頸動脈、四肢動脈等における血流波形を記録し、独自に開発した解析アルゴリズムに基づく波形分析法を用いて種々の血流指標の定量的な評価を行った。あわせて、対象者の基礎特性や尿所見、生化学データ、臓器障害の有無等を調査し、血圧・血流波形やPWVとの相互関連を調べ、早期血管老化の原因となるリスク因子の分析を試みている。 本年度内に、本研究において早期血管老化を調査するための基礎となる血流・血流脈波分析やPWV測定の意義を総説としてまとめ、国際英文雑誌(Journal of Atherosclerosis and Thrombosis 2017)上で公開した。また関連する内容について、国内学会における教育講演等にて発表を行った。 今後は、データベースのさらなる拡充を行うとともに、これまで集積したデータを基に詳細な分析を進めていく。また、平成29年度に収集した横断的データを基に、早期動脈硬化の進展や抑制を評価する前向き追跡研究データベース構築のための基盤作りを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は、以下のようにまとめられる。 1.動脈血流波形に関して、独自に開発した記録・解析アルゴリズムを広く大学生に適用し、非侵襲的かつ定量的な測定・評価方法を確立できたこと。 2.血流波形データならびに関連データ(基本情報、血圧・生化学データ、臓器障害指標等)を順調に蓄積してきており、大学生における早期血管老化の実態を調査するためのデータベースが構築されつつあること。 3.本研究の基盤となる血管老化の評価法について論文総説ならびに学会講演にて公開し、その重要性について国内・国外に向けて情報発信できたこと。 これらの点から本研究は、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策を以下に列挙する。 1.平成29年度内に確立した方法を用いてデータ収集を継続し、データベースをさらに拡充・強化する。2.動脈血流の関心領域を、胸部近位下行大動脈のみならず腹部大動脈や臓器動脈、四肢動脈まで広げ、異なる動脈部位における血流波形の相違ならびに主要臓器血流との関連について検討する。3.早期動脈硬化のリスクとなる生活習慣(食事・運動等)や基礎特性に関して、より詳細な調査を行う。4.対象者を大学生・大学院生のみならず中・高齢者等にも拡げ、両者の比較を行って早期動脈硬化の年齢依存性等について検討する。5.平成29年度に収集した横断的データを基に、早期動脈硬化の進展や抑制を評価する前向き追跡研究データベース構築のための基盤作りを行う。
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Causes of Carryover |
当初今年度の購入を予定していた血行動態分析ソフトウェアについて、既存の解析プログラムの改良にて当面のところ対応可能であったこと、また今後のさらなるプログラム改良の必要性を鑑みて、その購入を延期したため次年度使用額が生じた。また、今年度はボランティアや研究協力者への謝金の必要が生じず、次年度の実施に向けて準備を進めることとなった。 次年度は解析ソフトウェアの改良や、協力者への謝金、情報収集および研究結果公開のための学会参加の旅費等として使用する予定である。
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Research Products
(11 results)