2018 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集技術による新規ストレス制御機構の探索と老年病治療への応用
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17K19901
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大橋 憲太郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (50332953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天谷 文昌 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60347466)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 小胞体ストレス / ゴルジ体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々は、小胞体ストレス誘導性の神経栄養因子であるMesencephalic astrocyte-derived neurotrophic factor(MANF)の機能解析を行ってきた。その主な手法は、各種細胞株に強制発現することにより、MANFおよび関連因子の細胞内挙動を解析するものであった。本年度は、昨年度より樹立してきたMANF欠損細胞株を用いて、MANFが小胞体内腔における異常タンパク質分解能に及ぼす影響を検討した。またその解析には、従来のウエスタンブロット法に加えて、低分子量ルシフェラーゼNanoLuc誘導体NanoBiTを応用したシステムを用いた。MANFのC末端には、多くの小胞体局在性因子と類似した配列があることから、MANF欠損細胞株は小胞体でのタンパク質品質管理に何らかの異常がみられると期待されたが、本研究では野生型細胞株との有意な差異は見られなかった。 MANFに加え、以前我々が同定した機能未知の小胞体ストレス誘導性因子Cysteine-rich with EGF-like domains 2(CRELD2)についても着目した。研究では、初めてマウス各組織におけるmRNAおよびタンパク質発現量を解析した。また、CRELD2欠損Neuro2a細胞を樹立し、その性状を解析した。更に、NanoBiTシステムを用いることにより、CRELD2がシャペロン様の活性を有する可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、小胞体ストレス応答に関わる因子をゲノム編集技術により欠損した細胞株を複数樹立することが出来た。また、小胞体ストレスのみならず、小胞体からの輸送に関わるゴルジ体で生じるストレス応答の解析を目的として、新たな遺伝子改変細胞株の樹立を試みている。次年度は、これら細胞株の性状を解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム編集技術を用いることにより樹立してきた幾つかの細胞株を比較検討することにより、小胞体ストレスに加えて、ゴルジ体における機能障害により引き起こされるシグナル伝達機構の解析を試みる予定である。それにより、細胞障害時における小胞体とゴルジ体間の関連を明らかにしたい。また、NanoLuc及びその誘導体(NanoBiT, HiBiT)を応用することで、これら現象をより定量的に解析するシステムを構築したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度は、昨年度作製した細胞株を用いることで得られた研究成果を学術論文にすると同時に、新たに複数の遺伝子欠損細胞株を作製した。目的遺伝子の欠損細胞株は順調に作製することが出来たものの、作製した細胞株が複数で、予定した解析まで辿り着けないものがあったた。そこで、予定していた経費を次年度に繰り越すこととした。最終年度には、過去2年の知見を生かしてより効率的に解析を進めたいと考えている。
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Research Products
(4 results)