2017 Fiscal Year Research-status Report
日本人オリンピック代表選手コホートデータベースの構築による疫学研究
Project/Area Number |
17K19906
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
喜多村 祐里 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90294074)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | オリンピアン / 生存解析 / 寿命 / アスリート / セカンドキャリア |
Outline of Annual Research Achievements |
オリンピアンはその卓越した身体能力と精神力の故に長生きであると考えることができるが、日本人オリンピアンを対象とする生命予後に関する調査や、生存解析といった疫学研究報告はなされていない。一方、海外では死亡統計などの利用が可能な場合に限り、オリンピアンコホートの生存解析が試みられており、様々な理由から一般にオリンピアンのように社会的注目度の高い名選手(トップアスリート)は長生きであるとされる。 1912年、日本における初回参加大会以降、夏季・冬季を合わせて約6000人のオリンピック代表選手名簿を手がかりにして、図書館資料やインターネット上の公開データベースに基づく全選手の生死(転帰)情報を収集し、オリンピアンコホートデータベースを構築するとともに、各選手の到達年齢より推計される期待死亡数に基づく標準化死亡比(SMR: stanadardized mortality ratio)を算出する。これにより日本のオリンピアンが一般人に比べて、どの程度長生きであるのか、さらに競技種目や引退後の生活環境による影響の度合いを調べ、オリンピアンの生命予後に関する疫学像を明らかにすることを目的としている。 今年度の実績としては、SMRに関する中間解析結果については、既に第28回日本臨床スポーツ医学会学術大会においてポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に記載通り、公開情報データベースによる転帰情報の収集はほぼ終わっている。また次年度計画に記載しているアンケート調査の実施に向けた準備も予定通り進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針は、まず公開情報データベースのみを用いて生存解析を行い、既に報告のある海外の知見などと比較検討を行い、学術論文の公表に向けてデータの妥当性を評価する。 さらに日本オリンピック委員会やオリンピアンズ協会をはじめ、各競技団体からの協力を得て、対象選手のセカンドキャリアに関するアンケート調査を実施する予定がある。既に1964年の東京五輪代表選手の健康診断は継続的に実施されており、そこで用いられているアンケート用紙を参考としながら、新たに生命予後に関連が大きいと考えられうるセカンドキャリアにおける要因を加えた自記式調査票を作成し、追跡調査を実施する。
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Causes of Carryover |
データベース構築に必要な計算機購入費用に物品費を使用し、国内学会発表、JISS(国立スポーツ科学センター)及びJOC(オリンピック委員会)での打ち合わせのための出張旅費の使用額が生じた。また人件費・謝金の使用は、公開情報データベース検索とデータの保管・管理のために必要額を使用した。次年度使用額が生じた理由としては、次年度計画を実行するためのアンケート調査票の印刷と郵送費の使用予定があり、転帰情報の不明者に関する個別の訪問調査費用を捻出するためにはできる限り初年度使用額を抑える必要があったため。
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