2017 Fiscal Year Research-status Report
Screening of 'new generation' antioxidants and evaluation of their biological effects
Project/Area Number |
17K19909
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
真野 純一 山口大学, 大学研究推進機構, 教授 (50243100)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井内 良仁 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (60272069)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | アクロレイン / 親電子物質 / 酸化ストレス / 抗酸化物 / 植物 / 食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来,活性酸素による障害(糖尿病や神経変性疾患など)には抗酸化物が有効と考えられてきた。しかし抗酸化物だけでは,過酸化脂質に由来する親電子アルデヒド(RES-al)の酸化障害は防げない。RES-al消去能をもつ化合物は,”第二の抗酸化物”であり,新しい医薬開発に応用できる。本研究では,天然物からRES-al消去能を指標として新しい抗酸化防御化合物の発見が可能であることを実証する。 これまでに確立したRES-al消去能の評価法では,RES-alを定量するために2,4-dinitrophenylhydrazine (DNPH)で誘導体化した後HPLCを用いて分離しているが,この方法は多数試料の迅速評価には最適でないため,平成29年度は新たな評価法の開発を目指した。アルデヒドと反応する2種類の蛍光試薬1,3-cyclohexanedione, 7-hydrazino-4-nitrobenzo-2,1,3-oxadiazoleを用いた分光学的なアルデヒド定量を試みたが,いずれの蛍光試薬もアルデヒドと付加体形成後,経時的に蛍光強度が変化するため,多数試料の評価法としては,再現性の確保がきわめて困難であることが明らかになった。したがって,従来のDNPH誘導体化・HPLC法によって植物試料のRES-al消去能のスクリーニングを行うことに方針決定した。DNPH誘導体化条件およびHPLCの設定を最適化した結果,1種類の試料(野菜,果物の抽出液)のRES-al消去能評価に有する時間を従来の3日から2日に短縮化できた。 この方法により20種類の野菜,果実の80%エタノール抽出液のRES-al消去能を評価し,高い消去能がヘキサン抽出液に存在する植物試料を見いだした。値の高いものについて,ヘキサン抽出液,水抽出液の消去能も比較した。今後はこの脂溶性のRES-al消去物質を精製する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RES-al定量法を改善するため,RES-alと反応する2種類の蛍光試薬1,3-cyclohexanedione, 7-hydrazino-4-nitrobenzo-2,1,3-oxadiazoleを用いた分光学的定量法の開発を試みたが,いずれの蛍光試薬もRES-alとの付加体が不安定で,意図した定量法には採用できないことが明らかになった。したがって,RES-al定量には従来のDNPH誘導体化・HPLC法を採用せざるをえず,迅速定量法の確立を前提として計画していた,約100種の植物試料の評価は達成できなかった。 しかし,従来より1.5倍のペースで分析を行えるようDNPH誘導体化とHPLCの条件を再検討したため,20種の植物試料の比較評価は行えた。このなかからきわめてRES-al消去能の高い脂溶性成分を見いだした。既知のRES-al消去物質はいずれも水溶性物質であり,脂溶性のRES-al消去成分は新奇物質である可能性が高い。今後はこれを精製し,構造決定することで,目標としていた新規RES-al消去物質の発見に到達できると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1) DNPH誘導体化・HPLCによるRES-al定量法を用い,より多くの野菜,果物の抽出液のRES-al消去能を比較評価する。この中から,消去能が高く,分類学的に遠いものを2つ以上選び,RES-al消去成分を精製する。さらに,NMRなど有機分析による構造決定を行う。 (2) 精製したRES-al消去成分の,動物細胞における酸化障害軽減効果を検証する。酸化ストレス評価培養細胞系(ヒト由来HEK293T細胞およびSOD1遺伝子欠損マウス細胞)を用い,本研究の有効性と発展性を検証する。酸化ストレス障害が軽減されるか検証する。
|
Causes of Carryover |
RES-al消去能評価法を迅速化する計画だったが,既報によるRES-al検出蛍光物質の利用を検討した結果,本計画の解析には不適当であることが判明した。実験補助員を雇用し多数の植物試料の解析を進める予定であったが,迅速評価法が確立できなかったため,平成29年度は補助員を雇用しなかった。このことで予算執行が計画と異なることになった。 次年度は,新規RES-al消去成分の発見という計画を達成するために,平成29年度に発見した脂溶性のRES-al消去成分候補の精製に重点を置く。このために,新たなクロマト装置購入に予算を使用する。また,多種類の植物試料の比較評価という計画を達成するために,平成29年度に改善した分析法に基づいた植物試料の解析を行う実験補助員の雇用に予算を使用する。
|
Research Products
(3 results)