2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K19926
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小寺 義男 北里大学, 理学部, 教授 (60265733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 誠 北里大学, 医学部, 准教授 (30398581)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 生理活性ペプチド / ジメチル標識 / 血漿 / 血液 / 脳組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
血漿中のペプチドをより高感度で分析するために、2013年に独自に開発したペプチド抽出法の各ステップを見直し、より効率的なペプチド抽出法の開発を進めた。その結果、従来見えていなかったペプチドの検出が可能となった。一方、分析対象である血漿中のペプチドは、採血前の体内と同じ状態である必要がある。この点に関しては正確な評価は非常に難しいところであるが、採血後のタンパク質・ペプチドの分解について、平成29年度、タンパク質分解酵素阻害剤を添加した市販の採血管2種類と、従来の血漿採取用EDTA採血管で採血した血漿中のペプチドの比較分析を開始した。 脳の機能状態を解析するためには脳の各部位、脳髄液、ペプチドマイクロダイアリシスで採取した溶液中のペプチドを分析する必要がある。しかし、いずれも微量であるため、ペプチドを損失することなく効率よく抽出して分析する技術が要求される。そこで、まずはマウスの脳全体のホモジネート(脳 3mgに相当する量)を対象にペプチド分析を行った。その結果、921 種類のタンパク質に由来する2,488種類のペプチドの同定に成功した。この中には既知のペプチドホルモン6種類が含まれていた。次に、脳の凍結切片から線条体を切り出し、その中の約0.5mgからペプチドの分析を行った結果、神経ペプチド前駆体タンパク質 5種類を含む796種類のペプチド(253種類のタンパク質に由来)の同定に成功した。さらに、上記のペプチド分析法を基盤にペプチドの比較解析法を確立し、水中拘束ストレスマウスとコントロールマウスの凍結切片から切り出した海馬数mgを対象に比較解析を行った。その結果、神経ペプチド前駆体とホルモン前駆体タンパク質 5種類を含む54 種類のタンパク質に由来する131ペプチドの高精度な比較解析を実現し、約20種類のストレスに伴って増加するペプチドの同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は血液と脳組織の両方を分析する必要がある。こうした中、本年度は血液ならびに脳の凍結切片で切り出した微量組織を対象にした高感度な比較分析法の確立に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度確立した血液ならびに脳組織を対象としたペプチド分析技術をもとに、安定同位体標識法を組み合わせた比較分析法を確立し、高精度で高感度な比較分析を実現する。また、タンパク質の存在量ならびに機能状態の解析法を確立する
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Causes of Carryover |
国内出張に係る旅費が当初予定よりも少し少なかったため次年度使用額が生じた。次年度、消耗品として使用する。
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