2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K19926
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小寺 義男 北里大学, 理学部, 教授 (60265733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 誠 北里大学, 医学部, 准教授 (30398581)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 血液 / 脳内分泌液 / タンパク質 / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
独自に開発したペプチド抽出法を用いた血漿中のペプチドの分析によって、Brain-specific angiogenesis inhibitor 1, Secretgranin-1, 2, Neurograninをはじめとした約15種類の脳特異的に発現している可能性の高い分泌タンパク質由来のペプチドの直接検出に成功した。また、海馬、大脳皮質、視床下部の凍結切片約1mg(1mm径×1mm厚)より、酵素消化、分画、高感度LC-MSを組み合わせた分析において、6,000種類を超えるタンパク質を、同様の技術でマウス髄液より約500種類のタンパク質の同定に成功した。さらに、分担研究者・板倉との共同研究のもと、ペプチドマイクロダイアリシスにて生きた状態での脳内分泌液を採取しLC-MS分析を行いAngiotensinogen Apolipoprotein-E,Selenoprotein Pをはじめとする神経細胞に作用する可能性の高い約10種類の分泌タンパク質を含む約230タンパク質の同定に成功した。さらに、 K+ 投与によって、一部のタンパク質に量的な変動を検出した。 タンパク質の機能状態(切断、修飾等)の比較分析:血液中のタンパク質は非常に複雑な切断や修飾を受けているため、酵素消化をベースにした従来のショットガンプロテオミクス技術では、高性能質量分析計をもってしてもその複雑さを紐解くことは非常に困難である。このため、試料中のタンパク質を電気泳動し、短冊状に切り出した各ゲル中のタンパク質をゲル内酵素消化して同定するGeLC-MS/MS技術により血清を分析した。その結果、例えば補体C3やアルブミンが非常に多様な切断を受けていることが分かった。そこで、この方法に安定同位体標識法(ジメチル化)を組み合わせて、疾患特異的な切断ならびに修飾を詳細に分析する技術を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度で脳組織ならびに脳髄液、さらにペプチドマイクロダイアリシスの詳細なプロテオーム解析が可能となった。また、血液中で検出された脳で特異的に発現していると考えられるタンパク質の種類も増えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、脳組織、髄液、ペプチドマイクロダイアリシスの検出感度向上と、各種分析に本年度確立した安定同位体標識法を組み合わせることを行い、血液とその他の試料における同時検出を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は分担研究者が担当しているペプチドマイクロダイアリシスの改良ならびに試料調製法の改良を行い、LC-MS、前分画部分の最適化による高感度化を来年度行う予定であった。しかし、順番を入れ替えてLC-MS、前分画部分の最適化を先に行った。このため、分担研究者の使用分を次年度に使用することとした。 次年度、上記の最適化した方法を用いてペプチドマイクロダイアリシスで採取した試料の好感度分析を行い、その方法を基盤にマイクロダイアリシスと試料調製の改良を行う。
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