2017 Fiscal Year Research-status Report
気管いびき音モニターによる小児の睡眠呼吸障害スクリーニング法の開発と検証
Project/Area Number |
17K19928
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
谷川 武 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80227214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 博 独立行政法人国立病院機構福岡病院(臨床研究部), その他部局等, 臨床研究部長 (90450949)
若槻 雅敏 独立行政法人国立病院機構福岡病院(臨床研究部), その他部局等, 医師 (50796050)
池田 勝久 順天堂大学, 医学部, 教授 (70159614)
井下 綾子 順天堂大学, 医学部, 助教 (00514762)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 気管いびき音モニター / 小児の睡眠呼吸障害 / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、福岡病院に保管されていた過去の小児データ(PSGと同時計測の終夜気管音)を解析することにより、新装置のデータの解析方法の開発を試みた。 開発群として福岡病院で2012年から2013年の2年間の間に、睡眠呼吸障害が疑われ診断目的のPSGが実施された4~10歳の患児48名のデータを用いた。また、妥当性検証群として福岡病院で2017年に、睡眠呼吸障害が疑われ診断目的のPSGが実施された4~12歳の患児35名のデータを用いた。 気管音自動解析方法の開発として、開発群48名の睡眠ポリグラフを各1時間の区間に分割し、合計432区間について、PSG目視判定の無呼吸低呼吸数(AH)と、気管音自動解析による気管音変動回数(TS-RD)を求めた。この際、TS-RDとAHの相関が最も良好になるようにTS-RD検出のためのパラメータを最適化した。また 妥当性検証群での検討として、上記で決定した自動解析方法を適用し、TS-RDI(検査時間1時間当たりのTS-RD回数)を求め、PSG目視解析によるAHIと比較した。また気管音のサウンドスペクトログラム画像の目視解析を行い、目視解析による診断能の向上が見込まれるかを検討した。 その結果、小児では、検査中の覚醒時の発声(会話)、体動などの影響が大きく、それを除外しないと診断は困難であることが明らかになった。目視判定では上記の問題をかなり克服できるが、習熟が必要な点で一般化に問題がある。そこで我々は、次のステップとして、福岡病院で蓄積された症例数が多い成人で数万枚の気管音画像(各1分画像)を人工知能に学習させ、その結果生成されたニューラルネットワークで判別させたところ、睡眠・覚醒は92%の精度で判別できること、会話、体動、閉塞性無呼吸、低呼吸、いびきなども同等の精度で判別できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、調査票により抽出された小学生対象に、新しく開発された気管音記録装置を用いて測定を行い、同時計測する標準的診断検査方法(睡眠ポリグラフ;PSG)の結果と比較検討し、新装置の解析アルゴリズムを確定する予定であった。しかし、新装置の開発が遅れ、それが実施できなかった。しかしながら、我々は人工知能(深層学習)を用いることで、気管音画像から睡眠・覚醒は92%の精度で判別できること、会話、体動、閉塞性無呼吸、低呼吸、いびきなども同等の精度で判別できることが明らかになった。現在、この方法を小児例へ適応することで、気管音測定による小児の在宅無呼吸診断が可能になるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度に開発した気管いびき音モニターを用いて、文京区内の小学生約130名を対象に、睡眠時無呼吸症候群の健診を実施する予定である。また、健診結果で要精密検査と判定された小児については、順天堂大学耳鼻科にて診察を受けるように勧奨し、PSG検査などの精密検査を実施する。また、万一、文京区で研究が進まない場合は、すでに小児の睡眠問題について申請者らと共に取り組んでいる愛媛県松山市、兵庫県洲本市において同様の研究を実施する。
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Causes of Carryover |
平成29年度では小学生を対象に、新しく開発された気管音記録装置を用いて測定を行い、同時計測する標準的診断検査方法の結果と比較検討し、新装置の解析アルゴリズムを確定する予定であったが、新装置の開発が遅れ、それが実施できなかったため未使用額が発生した。このため、解析アルゴリズムの確定を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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