2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the sensibility of cooks -comparision between learners and exparts of the kitchen knife operation
Project/Area Number |
17K19942
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Research Institution | Chukyo Junior College |
Principal Investigator |
由良 亮 中京学院大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (10398985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠瀬 千春 九州栄養福祉大学, 食物栄養学部, 教授 (70722271)
萩原 勇人 東筑紫短期大学, 食物栄養学科, 教授 (80794213)
藤岡 美香 中京学院大学短期大学部, その他部局等, 助教 (10822687)
山本 麻衣 中京学院大学短期大学部, その他部局等, 助教 (60822690)
浜野 純 中京学院大学短期大学部, その他部局等, 講師 (90724873) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 包丁 / 学習 / 熟練 / モーションセンサー / 包丁技術 / 調理技術 / 感性工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在はキュウリの小口スライスの動作をモデルとして、包丁運動について記録を行なっている。取得した包丁操作データ(持ち手前方後方2点の3軸加速度・3軸角速度)の単位時間あたりの変化量は想定していたよりも激しく、ドローンの姿勢制御などに利用される計算手法では、ドリフト,バイアスおよびノイズの除去が非常に困難だった。しかし、バターワースフィルタを利用することで、これらの問題点の解決につながった。 これにより、取得データの積分計算が可能となり、軸方向の速度変化、位置推定、角度の変化を求めることができるようになった。また、加速度データにローパスフィルタを通すことで、包丁のおおよその姿勢検出が可能となり、そこに角速度データを相補的に組み合わせることで、包丁自身の細かな運動を捉えることに成功した。未だ暫定的な部分はあるものの、持ち手の前後の運動の違いが明確に表現できるようになった。これに加えて、操作データの2軸を虚数空間上の波とみなすことで、音声波形に変換する方法を考案し、「聞ける化」として官能的な比較ができる方法も検討した。 その結果、包丁技術熟練者(日常的に包丁を利用する業務に3年以上従事している者)と学習者の間に一定の違いが認められた。熟練者は、一定のリズムで反復運動を行なうことができるため、周波数解析では倍音成分が明確に見られるが、その理由と、包丁の軌道変化少なく、また押し切りを行う場合において、持ち手後方の動きが大きいことが示唆された。それに対して学習者では、速度・軌道ともに変化が大きく、持ち手の前後ともに、同様の動きがあることが認められた。また、「聞ける化」では、熟練者はシャープだが、学習者ではホワイトノイズが混じった音色になる傾向が認められた。 以上の結果を踏まえ、学習者に対してデータを提示することで、熟練者との違いを明確に指摘することができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年に引き続き、測定セットおよびセンサーモジュールともに改良作業を行なってきたが、なお故障しやすい状況が続き、取得データの信頼性に不安が発生したことと、それに伴い、ハードウェア的な部分で再設計の必要が生じたことが最大の要因である。加えて、測定データを統合・管理・解析するサーバーの開発を委託する予定でいたが、受託業者が依然見つかっておらず、計画および対応を再考する必要にも迫られている。これらについては、研究チーム内の、ハードウェア・ソフトウェア両面の開発に必要な人的リソースが不足していることが原因である。 また、昨年の時点で切断物の測定方法を検討していたが、一定の方向性ができたものの、コストが大きいため断念せざるを得ず、その決断にも時間を取られており、全体の遅れにつながっている。 また、依然として十分な数の熟練者から協力を得られておらず、学習者のデータ集積状況に比べ、根拠が薄弱であり、より深い比較解析に踏み込めない状況であることも、大きな問題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ようやく新しい測定セットが完成し、測定作業を再開できる状況に至っている。これまでの研究結果から測定モデルとして採用した「キュウリの小口スライス」については、学習者と熟練者の間の違いが明確になりつつある。そのため、これを利用して、実際に包丁技術の向上に効果があるのかを、学生を対象に検証する予定である。 また、ようやく安定した分析方法、新たな測定セットが完成したので、他の食材・切り方についても調査を開始することができるようになったため、計画当初に予定していた、包丁操作全般についての調査を開始する予定である。 データ解析については、特徴量の抽出、画像データ化、音声化に成功しているため、これらをリカレントニューラルネットワーク・畳み込みニューラルネットワークなどの機械学習を利用することで、さらに分析していく予定としている。 ただし、現在速度・位置の割り出しについては、精度が低くまだまだ検討の余地が残っており、折を見て改良していく予定である。 現状、このように様々な手法で解析可能な環境が整のいつつあり、その多くは自動化を念頭においた実装を行なっている。そのため、データ管理サーバーの開発委託がボトルネックとはなるものの、一定の進捗スピード向上を見込める状況である。 また、理由でも述べた熟練者のデータ不足については、機械学習の手法で擬似的に解消できる可能性もあることから、進捗の遅れについても対応可能であると考えている。
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Causes of Carryover |
【物品費】【人件費・謝金】については、研究代表者の突発的な入院に伴い、測定セットの改良計画が遅れたことに加え、それまで使用していた測定セット自身のトラブル頻発により、調査を継続できなかった点が挙げられる。その結果、調査が再開できるようになるまでにおよそ6月以上を費やしたため、当初計画していた調査回数を十分に確保できず、使用額が少ない状況となっている。加えて、前年度同様に熟練者データの確保に大きく手間取っており、十分な調査が行えなかったことが挙げられる。 しかし、現在ようやく調査を再開できるようになり、またその多くも自動化できるようになったため、ボトルネックとなっている部分の、一部は解消している。そのため、今後はこれまで停止していた調査も開始していくこととなり、順調に予算も使われていくと考えている。 【旅費】は、予定していた学会へ発表したものの、予算額内に収まる程度の距離だったことが挙げられる。 【その他】については、当該年度において、サーバー開発委託が、最大の予算項目となっていたが、プロポーザルによる委託業者を募ったところ、応募が無く委託できていない状況にある。ソフトウェア開発業者に問い合わせたところ、本案件は受託するには条件が悪いとのことで、委託内容を変更して再プロポーザルにかける予定である。
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Research Products
(1 results)