2018 Fiscal Year Research-status Report
認知症を防ぐオン・ベッド・リハビリテーションシステムの開発
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17K19949
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
菅原 順 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (00357261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平澤 愛 杏林大学, 保健学部, 学内講師 (30459945)
柴田 茂貴 杏林大学, 保健学部, 教授 (90636474)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 下半身陰圧刺激 / 循環調節 / ベッドレスト / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの循環制御機能の生理学研究で用いられている下半身陰圧刺激(Lower body negative pressure: LBNP)を応用した「早期離床を支援するリハビリトレーニングシステム」の開発を進めている。このシステムでは、立位姿勢によって加わる自律神経系、循環系、筋骨格筋系への刺激を、仰臥位姿勢のままで付加することができる。本申請課題では、このシステムを発展させ、歩行等の立位で行うリハビリトレーニングをベッドに寝た状態で実施できるリハビリシステム(オン・ベッド・リハビリテーションシステム)を確立を目的とした。若年健常者11名を対象に、LBNPシステムでの陰圧負荷中に、循環指標がどのように変化するかを検証した。特に、足底面に荷重が加わった場合と加わらない場合を比較することで、静脈還流量の減少という刺激に筋および腱からの運動刺激の入力が加わった場合に、自律神経系の循環調節がどのように変化するかを検討した。50mmHgの陰圧刺激を加えた場合に、足底面に荷重が加わる設定では、体重の67.3%相当の荷重が確認された。この時の心拍数および末梢動脈圧の応答に2条件間で有意差は認められなかった。また、脳自己調節能、および圧反射感受性に関しても2条件間で差が認められなかった。 次いで、若年健常者18名を対象に、LBNPを付加した際の全身および脳循環応答を検討した。30mmHgの陰圧刺激を加えると、心拍出量および中大脳動脈の平均血流速度は安静時水準を維持したが、一回拍出量、中大脳動脈の最高血流速度および拍動性血流速度、拍動性指数(PI)は有意に低下した。脳循環における拍動性変動の増大は、近年、脳血管疾患や認知症の発症リスクとして注目されていることから、本実験で得られた知見は、当該疾患のリスクマネジメントに活用できるポテンシャルを有するかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
介入実験の開始には至っていないが、実施に向けての生理的メカニズム、安全性などのエビデンスが蓄積できつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた実験結果をもとに、学会発表及び論文発表を行う。
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Causes of Carryover |
2018年8月から科研費国際共同研究加速で在外研究を行っている。その間、本研究の予算執行を伴う研究活動が中断したため。2019年8月に在外研究が終了するため、その後、必要な追加実験を行うとともに、これまでの成果の学会発表及び論文発表を中心に研究を進める。
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Research Products
(2 results)