2017 Fiscal Year Research-status Report
LED照明と汎用カメラによる選択的なフリッカレス高速可視光通信技術
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17K19952
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉本 雅則 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (90280560)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 可視光通信 / 選択的通信 / 最適変調信号 / 汎用カメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、室内照明と汎用カメラを用いた高速可視光通信手法の実現である。1光源当たりフレームレートの百倍以上のビットレートを達成する。LED arrayと撮像素子を用いた空間分割多重化によって、数百kbpsの通信速度を目指す。さらに、フリッカの抑制、特定端末を対象としたセキュアな選択的通信やスマートフォン等の携帯端末向け構想可視光通信に展開する。平成29年度は以下の計画に基づいて、研究を進めた。 1.通信方式の理論的検討: 提案手法は理論的に導かれる時間差推定のための最適変調信号を用い、LEDとカメラとの遅延時間をシンボルとする移相偏移変調により高速通信を実現する。シミュレーションを通して、背景光や撮像素子に起因する雑音と通信性能の関係について議論した。 2.実験システム構築:実証実験のためのLED光源(送信機)、カメラ(受信機)、およびそれらを用いた符号化と復号のためソフトウェアを含む実験系一式を開発した。この実験系を用いた評価実験により、提案手法の性能を明らかにし、ほぼ目標とする通信速度が実現できることを明らかにした。なお、本研究の成果は、雑誌論文(信学会誌)や国際会議(IEEE ICASSP2018)への採択が決まっている。 3.可視光MIMO技術:複数光源からなるLED array信号を受信し、空間分割多重化による高速化を実現するための基礎実験を行った。具体的には、各光源間の干渉を抑圧するためのフィルタや機械学習手法の導入を検討し、基礎的な実験を行った。 4、選択的通信技術:LEDからの送信信号を構成する各キャリアが、カメラの露光時間比により受信感度が変動することを利用した選択的通信技術について検討を行った。理論的な枠組みを明らかに、実機による実証実験を通して提案手法が実現可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度開始時に立てた研究計画とその目標はおおむね達成できており、また雑誌論文や国際会議での採択など、具体的な成果も出始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度を踏まえつつ、次年度は提案手法の性能向上を目指す。具体的には、複数光源による通信速度向上や対雑音性の高い手法の確立を目指す。現時点では、Deep Learningなどの機械学習手法を用いた復号手法の検討を行っており、それらの効果を検証したうえで実証実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初購入予定の機材については、既存設備の一部流用が可能であることが分かったため、今年度の執行を見送った。一方、今年度の研究において新たに検討した提案手法の拡張に際し、次年度に本格的な実験を実施するための機材が必要となるため、今年度分を翌年度分として請求する予定である。
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Research Products
(8 results)