2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of information structures in anomalous statistics and its applications
Project/Area Number |
17K19957
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
須鎗 弘樹 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (70246685)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | べき分布 / Tsallisエントロピー / スケール変換 / シフト変換 / ずらし |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,指数関数を特徴づける最も簡単な線形微分方程式を1パラメータ拡張した非線形微分方程式から出発して,べき分布が典型的に現れる異常統計の理論的体系を構築する.従来は,その非線形微分方程式の解であるq-指数関数に対して,従来の指数法則の拡張が成り立つように,新しい積(q-積)を導入して,そのq-積を用いて,理論を構築していた.しかし,その方法では,不十分であることがわかった.具体的には,もとの非線形微分方程式にはスケール不変性があり,その非線形微分方程式に支配される系では,観測値を表現するスケール(あるいは,単位スケール)のとり方に依存することがわかったからである.そのため,q-積だけでは不十分で,非線形微分方程式の解に現れる積分定数Cがスケールに依存するパラメータになっていることを陽に用いる必要があることがわかった.特に,この非線形微分方程式に支配される系では,連続する観測において,各スケールが異なることになり,理論構築が非常に複雑になってしまう.これは,q-指数関数による表現を採用するためであり,これを解決するために,q-指数関数ではなく,q-対数関数による表現を用いれば,統一したスケールで議論できることを示した.また,この非線形微分方程式に支配される系では,ずらし,つまり,シフトがスケール変換と同値であることを示した.これらの結果により,従来の理論を再構築する必要がある.実際,従来のTsallis統計の理論では,統一した絶対的なスケールを前提に構築されているが,この前提が成り立たないからである.また,これは,観測値に直接的に影響を与える発見のため,応用上,必要不可欠な再構築である.
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