2018 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding master's thinking mechanism and developing its visualized system
Project/Area Number |
17K19968
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
飯田 弘之 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (80281723)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 共謀数 / AND/OR木探索 / ミニマックス木探索 / 証明数 / シングル共謀数 / 名人の大局観 / 思考の可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,共謀数の手番推移に着目し,名人の大局観メカニズムを解明し,名人の思考を可視化するシステムを開発した.共謀数探索では,共謀数をミニマックス木探索におけるノード展開の順序を決定する指標として用い,現在局面のミニマックス解の更新が停止するまで探索を続ける.ミニマックス解の安定度が増すにつれて,当該候補手の最善手としての可能性が高くなると考えてよい.すなわち,共謀数はミニマックス解の安定性を表す指標と言える.ただし,共謀数は一般にスカラー値ではなく,ある幅を持つ値である.それゆえ,探索のために有効な情報であるが,計算コストが高く,強いAIの開発との親和性がよくない.本研究では,ある共謀数に対して,スカラー値のシングル共謀数を求めることで,膨大な量の探索中でもシングル共謀数を効率よく利用することに成功した.また,アルファベータ探索の枠組みでシングル共謀数を求める手法を提案し,思考ゲームを題材として,シングル共謀数の手番推移を解析した結果,従前の局面評価ではできなかった,局面評価の長期的展望の推定が可能となった.これは名人の大局観メカニズムの本質に迫るものと考える.これらの成果に基づいて強いAIの思考可視化に応用した.以上の成果をさらに発展させて,ゲーム木内部および外部の情報を有機的に利用するアイデアを考案した.内部情報として証明数,外部情報としてモンテカルロ法による評価スコアを用いる新たな探索アルゴリズムを考案した.様々なゲームを題材として提案アルゴリズムの性能を評価した結果,既存の優れたアルゴリズムのいずれをも超える性能であることを確認した.これらの結果は,名人を超える人工知能の発展と同時に,人間の思考法を可視化するアイデアを融合することでさらに性能の高い人工知能が実現することを示唆する.
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