2017 Fiscal Year Research-status Report
デジタルファブリケーションで実現する質感表現を目的としたメタマテリアルの開発
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17K19980
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
青砥 隆仁 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 特任研究員 (00785462)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 質感 / デジタルファブリケーション / メタマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,物質の幾何学的な変形に応じて光学的な特性である質感を自在に変化させることが可能なメタマテリアルを作製することである.本研究課題の特徴は構造色に代表されるミクロな構造を工夫することで物体表面の色をコントロールする技術と異なり,um-mm単位というマクロな構造を工夫することで,物体表面で起きる光学的な振る舞いをコントロールすることを目的としている点である.具体的には,タコの体色変化に代表されるように,内部の構造を自由に変形させることによって,物体の色を自由に変化可能な構造を探求する.初年度は先ずデジタルファブリケーション機器が理想的な精度を持ったものであると仮定し,光学的な質感と幾何学的な形状・変形の関係をモデル化する事し,シミュレーション環境において理想的な環境において質感の動的な変化を確認した.シミュレーション環境によって製作された構造は,ミクロ的には構造が変化し,色が変化するが,マクロ的には形状が変化しない物質となっている.また,計算機によって出力されたものを実際に製作するために,当初の予定であった積層方式の3Dプリンタを用いた製造ではなく,より高い精度で物体の加工が可能なレーザーカッターに代表されるような切削による加工技術を本研究課題に導入するための光学系の設計・実装を行った.これにより,um精度での切削加工が可能となり,製作物が実環境においてより理論値に近い状況で実証実験を行うことが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミクロな内部構造を変形させることで物体色が変化するが,マクロな構造が変化しない構造をシミュレーション環境において探索することは経験に基づく初期値を必要とし,計算コストも非常に高いという問題が存在した.そのため,実験の1サイクルを回すのに時間がかかり,当初の研究計画より遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に発見した構造をベースとして実際にものを製作し,性能の評価を行う.また,本年度に実装したum精度の加工が可能な光学系を用いたデジタルファブリケーション機器を実際に使用することで,より精度の高い加工を容易に行う.当初の予定では3Dプリンタに代表されるような積層型のプリンタをシミュレーションした結果に使用することを目的としていたが,レーザー加工に代表されるような切削による加工を用いることでより精度の高い加工技術を前提とした技術の開発を行う.
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Causes of Carryover |
研究計画当初においては,シミュレーションで得られた結果を3Dプリンタによって製作することを想定していた.しかし,3Dプリンタの性能が想定より悪く,また,実際に製作された物体が熱などの製造時における外的要素によって理想の形状から大きく外れ,結果として製作物が理想形状が所有するはずの性質を有しないという問題が生じた.そのため,積層方式の3Dプリンタからレーザーカッターに代表されるような光を用いた切削方式の加工方法に変更することでより精度の高い加工を可能とし,この問題を解決しようとした.この光を用いた切削加工の光学系を設計することが当初の予定と異なり,部品の選定や納期の問題などで次年度に繰り越しする結果となった.
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