2017 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of visual function of ipRGC using single-type multispectral projector
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17K19996
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
堀内 隆彦 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (30272181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 経太 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (30583405)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 視知覚機能 / ipRGC / 視覚経路 / 分光プロジェクタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,単独型分光プロジェクタを用いることによって,内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)の視覚的機能を明らかにすることを目的としている.そのために,申請者らが映像再現のために構築してきた視覚刺激の生成に利用することによって,これまでの実験精度を改善し,視覚機能の総合理解とモデル化に挑戦することに特色がある.平成29年度は,以下の研究を実施した. 29-1. 明るさ知覚への影響とモデル化:本課題では,ipRGCの受容量の違いに対して,明るさ知覚がどのように変化するかを視覚実験によって解析し,モデル化することを目的とした.実験方法は,Tsujimura et al. が実施したsilent-substitution法を踏襲した.本研究では,積分球ではなく分光プロジェクタを用いたため,以下の点で実験仕様が従来研究と異なっている.(1) 視野角が95度ではなく5.5度であること,(2) 輝度が356cd/m2ではなく20cd/m2であること,(3) 色度,テスト刺激の提示時間が1秒ではなく3秒であること.実験の結果,従来の知見と同様に,ipRGCの受容量が増加するにつれて,明るさ知覚が増加する結果を確認できた.一方で,ipRGCの受容量が明るさ知覚に全く影響しない被験者もいた.これは,従来報告されていない結果であり,ipRGCの欠損や個人差は報告されていないので,今後継続して解析していく予定である. 29-2. 輝度経路への寄与の解析:本課題では,先行研究によって示されているipRGCの輝度経路への寄与がない仮説を実験的に検証するために,交照法による解析を行うための分光プロジェクタの高速光源切り替え方法の検討を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始時に分光プロジェクタの故障により修理に時間を要してスタートアップが遅れたため,29年度に計画していた色覚経路への寄与の解析および瞳孔反応経路への寄与の解析に関しては,次年度からスタートすることとした.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究によって,ipRGCの受容量が明るさ知覚に影響しない被験者がおり,ipRGCの受容量に個人差のあることが示唆された。これまで,ipRGCの個人差については詳細な報告がないため,当初の計画に加えて,引き続き検討を進める。さらに,実験準備を進めた輝度経路への寄与の解析を開始する。さらに,遅れていた色覚経路への寄与の解析および瞳孔反応経路への寄与の解析を進める。 それらの基本的な解析が進んだ後に,空間的にipRGCの受容量が変化するような刺激を対象とした機能の解明に取り組む。それらの結果に基づいて,ipRGCの脳内に通じる機能的役割を総合的に理解し解明することによって,視知覚の新たなモデルを提案する.
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Causes of Carryover |
研究開始当初に、本研究遂行のための中心的なシステムとなる分光プロジェクタの光源および電源が故障したために、物品費において計画を上回る出費が生じた。そのため、初年度に計画していた評価実験を実施することができず、謝金などに余剰が生じた。これらの評価実験等は次年度実施する必要があるため、次年度使用額として確保した。
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