2018 Fiscal Year Research-status Report
深層学習による脳―機械インタフェースの深化 環境情報と利用者意図の双方向最適認識
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17K19998
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小谷 潔 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (00372409)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | ブレイン・マシンインタフェース / P300 / 運動想起 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境情報と親和性の高いBrain-Computer Interfaceを構築するため,昨年度導入した光学シースルー方式のMixed Realityについて,環境情報を考慮した選択肢の提示と深層学習のシステム開発を行った.以下にそれぞれについて述べる. 光学シースルー方式は従来用いられていたビデオシースルー方式に比べて自然な視野の確保と時間遅れのない情報提示が可能となり,より直観的な脳と外部環境のインタラクションが可能となることが期待される.今年度ははじめに空間マップを取得した後に空間上の物体位置,高さを認識し,候補となる移動先を複数設定するシステムを構築した.さらに,移動先候補に光学シースルー方式で仮想マーカを重畳して提示し,マーカの輝度変化と同期して脳波を計測,解析することで利用者が選択したオブジェクトを脳波から読み解く実験を行った.実験の結果,仮想マーカの配置や実物体との位置関係によって識別精度が異なることが明らかとなり,今後の環境情報を用いた光学シースルー方式のBrain-Computer Interfaceを改善していくうえでの重要な知見を得ることができた. また,深層学習を用いて脳波を識別する際に,従来法では被験者ごとの識別率のばらつきが大きいという問題があった.その点に関して,転移学習を用いることで個別適合型の識別器を開発した.運動想起時の脳波時系列を用いて識別を行い,平均的な精度の向上を果たした.一方で提案手法によっては精度が向上しない被験者もおり,深層学習をBrain-Computer Interfaceに適用するにあたってはデータの量と質をともに高めていく必要があることを再度確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光学シースルー方式のMixed Reality技術を導入した新規Brain-Computer Interfaceについて,環境情報を取り込んだうえで選択肢の提示を行い,識別可能であることを示すことができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらに,多くの環境情報をシステムが認識し,知的に利用者への働きかけとその結果環境へのアクセスを行うシステムを構築する予定である.
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Causes of Carryover |
BCIシステムを構築するにあたり,脳波の読み取りと,より利用者にとって自然な環境情報の提示を両立し,かつ両者を有機的に結び付ける目的を満たす同期システムを構築するのに時間が要したため.
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