2017 Fiscal Year Research-status Report
膠原繊維を考慮した皮下組織の3次元力学構造の解明と高感度柔軟触覚センサへの応用
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17K20003
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 由浩 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90432286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼田 信光 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (30135123)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 皮下組織 / 膠原繊維 / 触覚センサ / 振動 / パチニ小体 / 皮膚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,サル指標本の観察から皮下組織の膠原繊維の分布を3次元的に明らかにし,立体構造を求め,その力学的構造原理を明らかにし,さらにその原理を基に,皮下組織に分布するパチニ小体を反映した柔軟で高感度な触覚センサを開発することを目的とする.本年度は,サル指の連続断面切片の顕微鏡画像およびマイクロCT画像を元にした皮下組織構造の3次元的把握と構築,知見を元にした触覚センサの構造のモデル解析と試作を行った. 連続断面切片では,アザン染色により膠原繊維を特定し,また,マイクロCTではコントラストから,画像処理により脂肪組織,パチニ小体の3次元分布を求め,皮下組織の3次元構造の把握と構築を試みている.特に体積の範囲や集合の仕方に注目し解析を行っている.触覚センサでは,膠原繊維が表層側から末節骨に向かって分布している観察結果を元に,表層側から深い位置にあるセンサ素子部分に向かって樹脂で模擬した繊維が集約するような構造を準備し,これを柔軟な弾性体に埋め込んだモデルを試作した.有限要素法によるモデル解析も並行し,その結果では,均一なモデルと比べ,繊維構造を埋め込んだモデルが,高周波の振動に対し,良好に反映する傾向を示すことが確認できた.3Dプリンターを用いて繊維を製作し,歪みゲージをセンサ素子として貼り付け,これをウレタンゲルに埋め込んだ試作した実モデルにおいても,比較用に製作した均一な実モデルと比較すると,繊維を加えることで,高周波の振動が深い位置まで伝達し,大きなセンサ出力を得られることが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画のように,顕微鏡画像とマイクロCT画像の両面から3次元構造把握の検討が進められており,また,知見を元にした触覚センサの試作も進み,良好な結果を得られ基本的方向性が見出せていることから,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
3次元立体構築をさらに進め,体積の範囲や集合の仕方を詳細に分析することで,モデル構築と力学的効果を明らかにする.触覚センサについては,平成29年度の試作および有限要素法解析を発展させ,繊維構造の形状や物性値の調整により,柔軟性などの構造的特徴と時空間的感度を設計可能にする.
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Causes of Carryover |
解析用ソフトに必要な経費が抑えられたため,次年度使用額が生じた.一方で,触覚センサの試作が進んでおり,当初の予定より実モデルを多く製作することで,有限要素法モデルの改善やよりセンサの応用範囲を広げることが期待できるため,この材料費や電子部品費に計上する.
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Research Products
(2 results)