2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K20006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 正道 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(SPD) (50746469)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 時間知覚 / 機能的MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の日常生活では、会話の「間を読む」、信号が変わる「タイミングを見計らう」など、多くの場面で時間の長さ(時間長)を意識的・無意識的に推定・学習し、未来のイベントの予測や危険回避に役立てている。また、我々の時間感覚は、周りの環境や覚醒度、感情の状態などにより伸縮する「主観的」な感覚である。申請者は近年、機能的MRI(fMRI)を用いて、ヒトの右下頭頂小葉(rIPL)とよばれる脳領域に、特定の時間長(呈示時間)の刺激に選択的に応答する「時間ニューロン」が存在することを示す発見をした(Hayashi et al., 2015 PLoS Biology)。本研究は、この知見をベースとし、脳の活動パターンから情報を読み取る「脳情報デコーディング」の技術を利用して、脳活動からヒトの時間経験を解読することを目的としている 平成29年度は、このrIPLが時間長に関する情報を含んでいるかを、反復抑制法よりもさらに直接的な方法で明らかにするため、脳情報デコーディングとよばれる手法を用いてデータ解析を行った。その結果、実験参加者が実験中に観察していた刺激の時間長を、rIPLを含む複数の脳領域の活動パターンから解読できることがわかった。さらに、rIPLの応答パターンが刺激の時間長ごとにより明確に区別されている実験参加者ほど、時間長弁別課題のパフォーマンスが優れいていることがわかった。この結果は、rIPLの活動が主観的時間長の伸縮のみならず、時間長推定の正確さとも関連していることを示している。本研究成果は現在国際学術誌にて査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画1について、すでにデータ解析を終えて論文を国際学術誌に投稿済みであり、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は当初の予定通り順調に進んでおり、引き続き当初の研究計画を推進していく予定である。また、平成29年度に実施したデータ解析の結果では、時間情報のデコーディングが可能であった脳領域が具体的にどのようなフォーマットで時間情報を表現しているのかについては議論の余地が残されていることから、平成30年度ではその点についてもさらに実験・データ解析を進め、明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
一件、国際学会での発表のための旅費の支出を予定していたが、学会発表を次年度のに延期したため、次年度使用額が生じた。次年度には今回延期した発表を国際学会で発表する予定であり、次年度使用額はその出張旅費に割り当てる計画である。
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