2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K20006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 正道 大阪大学, 国際医工情報センター, 特任助教(常勤) (50746469)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 時間知覚 / 頭頂葉 / 機能的MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 脳活動パターンからの時間長の解読 右下頭頂小葉の活動パターンからヒトの時間経験を解読できること、さらにこの脳領域の活動から実験参加者の時間弁別精度を予測可能であることを示した研究について、さらなるデータ解析を行った。当初は、視覚刺激が消滅する時点(オフセット)での脳活動に注目していたが、追加解析ではさらに刺激呈示時(オンセット)の活動の解析を行い、右下頭頂小葉で時間長情報を解読できる理由が関心領域全体の活動レベルの変化によるものではないことなどを示した。これらの追加解析の結果などをまとめてCommunications Biology誌に論文を再投稿し、査読を経て受理、12月に出版された(Hayashi et al., 2018 Communications Biology)。
2. 主観的時間長の変容と右下頭頂小葉の活動変化 時間長への順応によって引き起こされる主観的時間の伸縮(時間残効)が、右下頭頂小葉の活動の変化と関連することを示した研究について、さらなるデータ解析を行った。時間長への順応による活動変化が見られた右下頭頂小葉と左中後頭回および右中後頭回の3領域について、活動変化量の個人差が領域間で相関するかを検討した。その結果、右下頭頂小葉の活動変化は右中後頭回および左中後頭回とは独立であることが示唆された。一方、右中後頭回および左中後頭回の活動変化量には強い相関関係が見られた。これらの解析結果も含めて論文としてまとめ、国際学術誌に投稿し、現在査読中である(Hayashi and Ivry, under review)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視覚刺激により呈示される時間長情報を脳活動パターンから解読することに成功し、論文として出版することができた。さらに右下頭頂葉の活動が主観的時間を反映していることを示した研究についても追加解析によりさらに理解を深めることができ、論文を投稿することができたため、おおむね順調に伸展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
時間長残効を用いて右下頭頂小葉が主観的時間を反映していることを示した研究成果について、早期の論文出版を目指す。また、ヒト脳における時間長情報表現の呈示様式依存性についても、検討を進める。
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Causes of Carryover |
当初消耗品として購入を予定していたモニタリングヘッドフォンの購入を延期したため、次年度使用額が生じた。次年度に当該物品の購入費用として使用する予定である。
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