2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K20006
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
林 正道 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 研究員 (50746469)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 時間知覚 / 機能的MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは、時間長への順応によって主観的時間の伸縮(時間残効)を起こすことができる実験パラダイムを用いて、右下頭頂小葉が主観的時間を反映していることを示した(Hayashi and Ivry, under revision)。この研究では右下頭頂小葉のみならず左右半球の中後頭回と呼ばれる領域についても順応の効果が見られた。そこで本年度はこのデータをさらに解析し、これらの領域の解剖学的位置についてより詳細な同定を行い、また、右下頭頂小葉と左右半球の中後頭回の機能的接続について精査を行った。
まず、これらの脳領域の解剖学的位置を詳細に調べるため、皮質表面上に活動領域を投射して、Glasserら(2016, Nature)によって示された180の脳領域のどの領域にこれらの領域が相当するかを調べた。その結果、時間長への順応効果がみられた右下頭頂小葉領域のクラスターはPF、左右半球の中後頭回のクラスターはPGpおよびPGsに相当することが示された。
また、前年度に行ったデータ解析では、時間長に対する順応効果の大きさが右下頭頂小葉と左右半球の中後頭回との間で相関がなかったことから、これらは独立に機能していると考えられた。しかしながら、このデータについて課題試行間での活動のゆらぎの相関関係を調べると、右下頭頂小葉と中後頭回の間にもいくらかの相関関係があることが示されたことから、これらの領域間には機能的接続が存在する可能性が示された。これらの研究成果についても論文に盛り込み、国際学術誌に出版する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
詳細な実験データ解析によって新たな知見が得られ、これらのデータを盛り込んだ論文をまもなく出版できる状況となった。しかしながら当初予定していたMRI実験のデータ取得に遅れが生じており、次年度にこれを進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に遅れが生じたMRI実験を中心に研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大のためMRI実験を延期せざるを得なくなったっため。当該年度に予定していた実験を実施し、実験参加者への謝金として使用する予定である。
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