2017 Fiscal Year Research-status Report
テラヘルツ波の物体透過性に基づく自由素材インターフェースの実現
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17K20015
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
門内 靖明 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (90726770)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | テラヘルツ波 / ヒューマンインターフェース / レーダ / ジェスチャ認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
テラヘルツ波の波長は電波と比べると短いが可視光と比べると長いため、高解像度と不透明物体への透過性とを両立したパターン計測に応用できる。本研究では特に、人間の手指を模した試験対象物の位置を不透明物体越しに計測可能なことを示し、これによりテラヘルツ波を環境中に溶け込む入力インターフェースとして応用できることを原理実証した。具体的には、伝送線路に沿って周期的に散乱体が配列された構造の300GHz帯アンテナを用いて、給電周波数を掃引することでビームの放射方向を空間的に走査しながらレーダ計測を行い、アンテナ前方に置かれた試験対象物の位置および分布をミリ分解能で定位可能なことを示した。また、テラヘルツ波の物体透過性を活かすことで、1 mm程度の厚みを有する不透明なタオルでアンテナが覆われた場合でも正確に位置を検出できることを明らかにした。さらに、複数の異なる方向からレーダ信号の取得を繰り返してアンテナを仮想的にアレイ化することで、取得されたレーダ信号を計算機上で合成して試験対象物の3次元分布を再構成できることを実証した。複数方向からの信号取得にあたっては、実験の都合上、対象物を機械的に回転させながら行ったものの、この手法自体は対象物は固定したままアンテナ自体を並列アレイ化した場合にもそのまま有効である。以上の実験はベクトルネットワークアナライザを用いて送受信器間の複素透過係数(Sパラメータ)を計測する系を構築して執り行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標であった、人の手指を模した試験対象物の不透明物体越しの計測を達成することができた。3次元分布の再構成ではアンテナを空間的に並列化することを当初計画していたものの、実験装置の制約上単一のアンテナを用いながら対象物の位置を変えることで仮想的にアレイ化する方策をとった。しかし、この結果はそのままアンテナが並列化された場合にも有効である。したがって、研究の目標には変更がなく、それに向けた進捗はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に沿って研究を進める。具体的には、まずベクトルネットワークアナライザからの信号読出しを高速に行い、静的のみならず動的な対象物を計測できるようにしていく。そして、不透明物体としてタオルのみならず木、革、プラスチックなど身の回りの多様な素材を対象として透過測定が行えることを示す。これにより、日常生活の中で物体を介して生じる自然な動作を非接触検出して、情報端末への入力インターフェースとして利用できることを実証していく。
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Research Products
(1 results)